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2025年11月19日 (水)

もっとも古い1970年製[SEIKO 5 ACTUS 25石(6106-7490) 諏訪精工舎製]の延命処置

03__20251119103201 表題の古くても思い出深い機種の機械式自動巻腕時計だが、現状は12時を下にして3時-9時方向を水平に保つような姿勢で、日差±10~15秒を維持できているが、屋外での過ごす時間が長いと設定した精度の数倍の誤差を生じる。要するに可動部金属の「オイル切れ・不純物の固着・ヒゲゼンマイの劣化等々」が複合的に作用して、精度を維持できないらしい。

近所の時計店に立ち寄ってヴィンテージ時計の談義を1時間ほどしていたので、この時計の分解整備の可否を訪ねてみたところ、機械式腕時計の分解整備は20年前から行っていないとのこと。そして、海外製のヴィンテージものならいざ知らず、日本製の汎用品の場合には、修理するよりも類似の中古品を探した方がはるかに安価で確実だということらしい。ちょうど、一眼レフカメラとよく似た市場の特徴だ。

250136_ ボール紙の小箱の中で無造作に保管されている、1960年代からの手巻き・自動巻の腕時計をジャラジャラとかき回して、「1972年製だが、SEIKO 5 ACTUS これじゃないかね」と取り出してきたのには驚いた。25年くらい前に風防ガラスを交換したものだが、今度はケースの痛みが目立ってきたので、新しいものに買い換えたというお客さんの処分品らしい。

こんな調子ですべての時計にまつわる逸話をあれこれ聞かされて、その中の数点は定期的に店主が使用しているという、なんとも商売気のない趣味人のような方だ。もっとも、筆者と細君は当店の客としては、定期的な電池交換の腕時計が4点ほどと、数年前に細君の礼装用の「SEIKO ソーラークォーツ」を新調したくらいだ。

長話に捕まったら大変だと、細君はいつも早々に切り上げてくるらしいが、それを筆者が本日補完したようなものだ。

そろそろ話を切り上げようとした時に、「これ、中身を入れ替えてみるかい、機械は調子良いよ」との言葉の意味が一瞬理解できなかったが、ムーブメントは1972年製で文字版デザインが全く違うのだが、ケースの形状からしてキャリパーコードは同じらしく、一瞬で載せ替えができるらしい。

文字版は好みが分かれるところだが、機能重視でこの際ムーブメントを載せ替えることにしたのは、「代わりにあなたが使ってくれたら良いよ」、とのお言葉だったからだ。帰ってから調子を調べてみたら、全く問題なくビートエラー0.4ms、日差±20sec(姿勢最大値)で実に心地よい。頂いてきた抜け殻のケースだが、交換されたはずの純正の風防ガラスもすでに新たなエッジの欠けが見られるものの、予備として保管させてもらう。しかし、SSケースのきずは深く、確かに風防ガラスとのバランスがわるいことがよくわかる。

★ オリジナルケースのマット仕上げを再現
250137_ 購入時には、ケース全体が鏡面仕上げになっていたので、上面部のみマット仕上げのオリジナル仕様を再現してみた。これは先の1972年製のケースを見てやはりこちらの方がデザイン性で優れると判断したからだ。

ついでにベゼルのキズも再研磨して、こちらは限りなく鏡面仕上げでガラスエッジとの競合性を意識させてみたので、風合いのコントラストが明瞭になり気に入っている。歩度の再調整も行って、ビートエラー0.1~0.3ms、日差±10sec(姿勢最大値)まで追い込めて非常に調子が良い。

★ 文字版の交換
最初の印象は大切だと思う。黒マットの文字版ははっきり言って好みではない。ホワイトが正統派だというわけではないが、時刻・針位置の視認性が劣るのは事実だし、文字盤からの反射がないので風防ガラスの透明感が表現できない。

1週間以上思案したが、思い切ってホワイトの文字盤に交換することに決めた。決めたのは良いが、ムーブメントのスタンドがないので三針の抜き差しと文字盤の足の固定が思うように進まない。気が付いたら30分以上が経過していたが、無事に裏蓋を締め終わり安堵している。

250138_ 反射ブルーの文字版はホワイトに次いで好みだが、その他の色はやはり手を出さない方が無難だとわかった。ホワイトの文字版にはそれなりの歴史があることも理解できてひとまず落ち着いたところだ。

時計屋さんはこの黒マットの文字版が気に入っていたようなので、ホワイトに交換したことを少し残念に思うかもしれないが、そんなことをとやかく言う方ではない。要するに腕時計は自身が気に入れば、オメガもセイコーもどちらも本人にとっては最高の持ち物という考え方だ。

店舗としてのライセンスは「精工舎」だが、お客さんに合わせて、オメガのムーブメントもそこそこの在庫を持ち、自身の普段着は「シチズン」の自動巻というところが興味深い。ということで、筆者の場合にはこの[SEIKO 5 ACTUS 6106-7490]ムーブメントは特別な一つになっている。

ムーブメントが交換されて製造年は1972年製になり、ハイビートの[SEIKO ROAD MATIC Special 5206-6110]と同年になったわけだ。ちなみに予備機の[SEIKO 5 ACTUS 6106-8660]は1974年製になる。すべて筆者が大学生の頃の製造になり、当初の購入動機であった、高校生の頃の思い出からズレが生じた勘定だ。

2025.11.29
★ SEIKO SPRIT 7B22-0BK0(910235)
250139a_seiko-sprit-7b220bk0 製造から6年か16年かが経過しているソーラー電波腕時計なので、まだ二次電池交換がされていないか、1回は交換がなされているかと思われる現状稼働品を入手した。おそらくキャリパーナンバーとシリアルから2009年製だと思う。

発売当時の実売価格が未確認だがもっとも廉価版で、ベゼルの取り外し・風防ガラスの交換ができるかどうかも不明な成型ケースのようで、これと言った特別な魅力があるわけではないし、時計バンドの交換もままならないオリジナルケースだ。

ただし、型番[7B22-0AE0 ]は国内販売では「ドルチェ 電波ソーラー」で販売されていたようで、そうするとこれは海外生産の逆輸入品である可能性が高い。シェルの文字版も国内ではあまり認知・人気度が高いとは言えないので、その点からも間違いなさそうだ。

単純に常に正確な時刻を表示する時計の一つもあればということで、[DOLCE]のイメージをより洗練したようなデザインが気に入った。淡いブルーのシェル文字盤にコンビネーショントーンのややクラシックなイメージだが、ベゼルの幅が目立つ分だけ文字盤が小さく見えるもものの、ケース幅は39mmで全体のボリュームはある。

「ドルチェ」は細身の腕にでも似合う華奢なデザインコンセプトで、最近の流行とは相反する気がするのと、筆者の腕周り(18.5cmオーバー)にはやや弱々しい。そのあたりを補完した本製品は国内では珍しくボリュームのあるファッショナブルデザインになっている。ただし、仕事場は時計電波が受信できないので、時計を外した際にはたまにリビングに置く必要がある。

★ 今さらながら電波時計の便利さ
我が家のベランダ向きのリビングの掛け時計は電波時計で、その精度は偶に確認する時報とのズレは最大でも数秒程度だ。これが乾電池駆動で2~3年はメンテナンスフリーで20年以上動き続けている。

今回の[SEIKO SPRIT 7B22-0BK0]の電波ソーラーだが、おそらく電波掛け時計と同様の手間いらずになるのは言うまでもない。未明と早朝の2回で時刻補正を行い、うるう月の日付変更も自動仕様なので、日常生活時間帯では何一つ不自由のない時計としてはそれなりに意味がある。と言うか、時計の精度を語る上で、電波で時刻を補正するというのは「禁じ手」だろうという気もする。

日差±1秒以上のガラクタクォーツムーブメントでも、毎日時刻補正を行えばそれなりに電波時計としての正確さをうたうことができるという、ひねくれた考え方が心の底に消えない。日本ブランドの腕時計であれば、商品価格に相応のクォーツムーブメントが搭載されているものと信じて、手元の製品をつぶさに眺めている。

使用しはじめて数日だが、秒針のズレがないのはやはり電波時計の最大の魅力だと実感する。250140b_seiko-sprit ステンレスのケースおよびバンドの造りは、カットエッジが曖昧な気がするものの、3本ラグのオリジナルベルトの強度と加工精度は結構良い。ベゼルの鏡面仕上げの色合いが、外周のゴールドリングに溶け込むようなステンレスで意外と高級感が漂う。

風防ガラスはベゼルと同じ高さのフラット仕上げのサファイヤガラスで透明感が気持ちよい。サファイヤガラスの透明感がよく出ているのは、ゴールドの三針とインデックスを反射していることと、なんと言ってもシェル文字盤が発するパール状の乱反射のためだと思う。

これはクリスタルガラスのエッジ加工よりも装飾性に優れる気がする。便利な日常使いとしてコストパフォーマンスに優れる電波時計だが、この[DOLCE]のようなヴィンテージ風の外装仕様が気に入っている。

11月は30日の翌日が12月1日になる瞬間をみたかったが、おそらく、分針がビュンビュン回っているような気がする。受信機とICチップおよびクォーツ駆動装置で構成されているムーブメントに機械式自動巻腕時計のような愛着がわくかどうかは現時点では結論がでない。このことはそもそもクォーツムーブメントそのものにも言えることで、1979年製[DOLCE]から2023年製[ICE WATCH]まですべてに共通することだ。

お気に入りはいつも予備を手元に置いているのだが、電波時計に関しては今のところ予備を持とうという気になれない。特に欧州の世界的に有名な時計メーカーがこの電波時計への参入に積極的でない点の真相をあれこれと邪推してみるが、その結論を出すにはまだ数十年の実積が必要な気がする。

・・・つづく(もどる)

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