LIGE(西の大陸国メーカー)機械式腕時計
この国の腕時計には製品であれムーブメントであれもとより興味がないが、とある事情で筆者の手元にそれが1個ある。アマゾンで1万数千円から2万円程度の商品のようだが、機械式(自動巻)ということで、今ではその性能をチェックできる「タイムグラファー」があるので、思い出したように、引出から持ち出してみた。
これまで引出に仕舞っていたのは、ケースの大きさが半端ではない43.7mm(リューズを含まない)なので、非実用的ということでその出番がなかったわけだが、早々にこれの精度を確認してみた。
驚いたことに、日差数十秒の値は姿勢差がなく、ビートエラーも0~0.3という結果だった。しかも振り角が240°程度で非常に力強いムーブメントだ。どうもこの振り角の大きさが姿勢差を抑えているようだ。
一般的にいわれることは、この力強いゼンマイの解け方に由来する「耐久性」に問題が多く内在しているらしく、数年間程度が限界とも言われている。おそらく、巻き上げからの放置駆動は国産品のような長時間駆動は望めない気がする。このあたりを確認するために、1週間程度これを実装してみようと思う。
2026.05.08
実際に手にしてわかってきたことだが、まずケースの材質が一般的なステンレスではなく鉄に銅メッキをして仕上げにチタンコーティングを施しているようだ。見た目の輝きは問題ないが、母材が鉄なので柔らかく、ひとたびキズや当てが生じると修正がほぼ不可能だ。この異種金属の複合層のためか、裏蓋やベゼルが簡単には外れない。ほぼ電食の影響で一体化しているようにも思える。
風防ガラスの内側の研磨が甘く材質が良くない水色ガラスなので、ベゼルを外そうとしたらいきなりガラスが外れた。案の定、ガラスの内側はもやもや状態だったので表側と同レベルまで研磨仕上げを行い、何とか安物のミネラルガラス並みにはなった。その作業の中で気づいたことだが、テンプの歩度調整が文字盤側から行う構造になっているのは、もとよりメンテナンスをする気のない設計のようだ。
次に、手巻きによる巻き上げからゼンマイ解放まで20数時間のような気がする。これは国産製品の1/2程度で、それに追従する自動巻きの能力が不足しているように思う。屋外で活動しない生活スタイルの場合にはゼンマイ巻き上げ不足で止まることが容易に想像できる。つまり、粗雑な扱いではじめて駆動が維持できて、自動巻ムーブメントが壊れるまでメンテナンスは不要だが、止まればそれでお払い箱という発想なのはこの国の製品に共通するところだ。
最後にムーンフェイズだが、これは昼夜表示で月の満ち欠けを表現するものではない。全体的にどうも胡散臭い設計と品質がうかがえるようで、基本的なカレンダーと時刻情報を確認することも煩わしく思えるところが情けない。おそらく2度と手にすることはない気がするので4日目にしてお蔵入りというか、ほぼ廃棄物になることが決定した。
2026.05.09
西は西でも「デンマーク製」のファッション時計
昨年の10月に購入したファッション時計[ice watch]のデザインはベルギー製でムーブメントは日本製だが、今回の[SKAGEN 355LSSM]はデザインがデンマーク製でムーブメントは同じく日本製(MIYOTA 1M12)になる。
販売当時の定価が2万円以下のこれもファッション時計の類いではあるが、オールステンレスケースに硬質ガラス製風防の、特にメッシュベルトの取付デザインが凝っている。大きさもリューズを含み外径がφ35.8mmというのは扱いやすい。そのわりには、秒針が外枠近くまで延びているので文字盤は実際以上に大きく見える。
いずれにしてもファッション時計らしく、三千円でおつりがくる消耗品価格で購入したが、筆者はそのデザイン性と材質およびムーブメントにそれなりの価値を見いだしている。表面からのスリムな印象は、あこがれの「ユニバーサル製」に似た雰囲気がある。本製品の履歴の程度が不明なこともあり、後日に予備の新品ムーブメントも別途準備して、本気で長く楽しもうというところだ。
新品のムーブメントは、いわゆる時計修理技能士の検定課題製品に選定されているようで、その関係の方から動作確認のみの未使用品を格安で入手することができた。本体と予備のムーブメントを合計しても国産ヴィンテージ風防ガラスの半額程度なので、まあ納得のできるところだと思う。
もっとも、ムーブメントの交換は針の付け替えと文字盤の入れ替えを含めて少しだけ経験の必要なことだが、これを習得すれば時計のメンテナンスの幅が飛躍的に広がる。無論ある程度の失敗の経験も必要だが、手順を追って決して急がずに事を運べば、いわゆる分解作業の一歩手前までのスキルはそれほど高くない気もする。
今回の場合には、この先でムーブメントの交換を行う場合の文字盤外しは、裏蓋径とベゼル径にあまりの差があることから、ベゼルと風防ガラスも同時に外す必要があるような気がする。それはその時になってまた思案すれば良いことだ。
(備忘録):ムーブメントの交換手順
・ベゼルを緩めておく
・裏蓋を開けてオシドリを探し、巻真を抜く
・ベゼルと風防を同時に外して、表側からムーブメントを取り出す
・針を抜いて文字盤を外し、ムーブメントを交換する
・文字盤と針を戻してムーブメントをケースに収めて巻真をさす
・裏蓋を閉めて、ベゼルとガラスを戻す
2026.05.12
★ 商品と替えのムーブメントが届いた
製品が到着したものの動作確認ができていない。ムーブメント「MIYOTA 1M12」の標準電池は「SR621SW」で厚みがt=2.10mmだが、製品に装着されていた電池は「SR616SW」でその厚みがt=1.55mmになっていた。その厚みの差は0.55mmで、バネの遊びの範囲内のような気もするが、製品の電池の取り外し時の雰囲気が結構ぴったりだった気もするため、安全のために「SR616SW」の到着後に改めて動作確認を行うことにする。
上記の電池で動作の確認ができれば、次回の電池交換の際には「MIYOTA 1M12」の標準電池の挿入可否を試してみることにして、本件は特段慌てることもない気がする。ようするに、当面は動作の確認が最優先になる。
一方で、ケース・裏蓋・ベゼル・風防ガラス・バンドのチェックと清掃を行っている過程で、想像以上にパーツの完成度が高いことに驚いている。裏蓋のパチンと閉まる感触や、ガラスとベゼルの取り合い部分の精密さと、曲面ガラスの輝きやエッジ研磨の精度は、近年の国産製品には見られない華奢だが精密な仕上がりだと思う。しいて言えば、1970年代の手巻きハイビートの「SEIKO シャリオ」の造りと酷似している。
また、専用のメッシュバンドを取り付けるラグのデザインが洗練されている。メッシュの密度も非常に緻密で2重バックルだがほとんど嵩張らない。同様のメッシュバンドは安価な中国製も氾濫しているが、バックルの留め位置範囲のメッシュバンド裏側には、あらかじめギザ溝がプレスされているところのオリジナル性の気配りが良い。
そのようなことから、是非とも電池交換で無事駆動してほしいものだ。万一不動の場合には早々にムーブメントの交換を行う予定だが、ベゼル・風防ガラスの取り外しには最大レベルの緊張感を伴う作業になる気がする。「MIYOTA」よ、蘇ってくれ。
2026.05.13
★ MIYOTA 1M12 再始動で予備のムーブメントは保管しておく
ボタン電池「SR616SW」がぴったり入り駆動を確認した。後でわかったことだが、購入時の画像と商品が到着後に撮影した画像で、時分針は別として秒針が25秒動いている。これは手元にあった「SR621SW」を入れようとして、サイズの違いに気付いて取り出したわずかな間の通電で秒針が動いたことを示している。
その後に「1M12ムーブメント」の数々の画像で装着電池を調べてみると、電池フォルダーの爪が樹脂製のものは「SR621SW」で、本製品のように爪が金属製のものは「SR616SW」のような気がする。とにかく、電池ホルダーのバネの余裕はほとんどないこともわかり、どうも再購入したボタン電池が正解のようだ。商品を手元において2日間駆動確認ができなかったこともあり、本日の電池装着後の感動は格別だ。
クォーツ駆動で歩度調整もないのと、定番の「MIYOTA製ムーブメント」なので、裏蓋を閉めて一通りの整備は終了した。国産品にはないデザインセンスの良さを正統派パーツで仕上げた[SKAGEN]の評価を、筆者の感覚で勝手に秀逸品だと思って記事にしている。この製品を他人が装着しているのを見ると、普通の「ファッション時計」だと思うのは、ブランド名の知名度が低く華奢な造りが一見チープに思えるからだ。
しかし、よくよく眺めると風防ガラスやベルト素材とその仕上げ具合に意外性を感じ取れる人は世間にどれくらいいることだろうか。まあ、チープカシオと同類に見られる可能性もあるが、この腕時計は自らが眺めて楽しむ代表格の一つ、もしくはカテゴリーのような気がする。
・ムーブメントは「MIYOTA製」(シチズンの主要取引先メーカー)で開発コストがかからない
・ケース・文字盤・風防ガラスはスイス製(RADO等)のノウハウが生かされているようで、EU圏内で製造している気がする
・ベルトもスイス製のノウハウがもとで、現在では中国生産の汎用品でコストを抑えている
・結果的にファッション時計の価格帯で販売されているが、いわゆる出来は良い。
これが、デザイン企画とムーブメント・ケースの製造まで中国製ならば、どこまでもファッション時計の域を出ない商品で止まっていただろうし、付加価値が皆無なゴミになっていただろう。つまり、独自性と品質管理の概念のない商品はもう生き残れないということだ。その意味では、国産品の[ALBA],[Q&Q],[LEGNO]などよりも永く楽しめる。
2026.05.14
★ RADO クォーツのムーブメント
RADO製においても、1980年代以降のクォーツムーブメントはどうも「ETA(エタ)」製が多く使用されているようで、[DIASTAR 129 0286 3、DIASTAR 152 0341 3]もそのムーブメントは「ETA」製だ。世界中の時計メーカーで自社製ムーブメントを保有しているのは意外と少なく、だからこそ時計の整備性には共通するところが多く、ある意味で完成された工業技術の一つだと言える。
したがって、腕時計というものは新製品を追う必要がなく、適正に整備されていればいつの時代のものでも安心して楽しめる不思議なアイテムだと思う。そうなると、日本の2大メーカーである「SEIKO」と「CITIZEN(MIYOTA)」が競合しているこの国の工業製品市場というのはかなり特異なのかもしれない。というか恵まれていると解釈してよい。
今回、「DIASTAR 129 0286 3」のムーブメント「ETA 956.412」の整備済み商品を偶然見つけたので、不測の事態に備えての予備機として注文しておいた。ちなみに時計本体は40年以上前のモデルだが、ムーブメントがその前後のいつの時期のものかは定かではない。しかし外見からはかなり新しい気がする。ちなみに、このムーブメントの大きさはφ20.0mm×t2.0mmで、まるでレディース用かと思うほど小ぶりだ。
★ ムーブメントの交換
「RADO DIASTAR」は今現在全く問題なく稼働しているが履歴がわからない。一方で、ほぼ新品のムーブメントが到着したが、これに入れ替える事態がこの先いつなのかを予測することも難しい。むしろ、今交換しておく方が不測のリスクを回避できることは明らかなので、深夜の邪魔が入らない時間帯に、ムーブメントを交換することにした。
三針を取り外して、文字盤の足3本の固定状態を確認したが、どうも文字盤の足がクリップのようにムーブメントを挟みこんでいるようで、最終的にはスペーサーで固定されていることがわかるまで1時間ほどを要した。文字盤を移植して、カレンダーの切り替わる0時直後に2針を合わせ、最後に秒針の位置合わせを行う。
ところが秒針を抜いた際に穴が微妙に広がったようで、新しいムーブメント軸への固定が甘い。仕方なく秒針の穴径を絞るために、ピンセットの先を指で押さえてトライすること5回目でようやく秒針の固定度が確保された。とにかく国産の秒針と比較すると、「RADO DIASTAR」の秒針の細さと穴径の小ささは特別だ。当然ながら針付け作業は実体顕微鏡でなければ、ムーブメントの軸針に秒針の穴をかぶせることはほぼ不可能だ。
しかも3針のそれぞれのすき間が極端に狭いときているので、針棒の押し込み加減を3度ばかり変えてようやくそれぞれの針のクリアランスが確保できた次第だ。そんなこんなで気が付けば3時間半ばかり経過していたが、何とかムーブメントの交換は無事に終了した。うまくゆけばこの先数十年は機嫌良く稼働してくれると思う。
2026.05.16
★ 最大ケース径の再考
表題の記事にあるケース径φ43.7mmの[LIGE 機械式腕時計]がお払い箱になったことで、手元の最大ケース径は、φ42.00mmの[SEIKO Premier クォーツ式]になる。比較的薄い設計なので、シャツの手首ボタンも気にならず、φ30mmクラスのものと同様の使い勝手になる。
ところが、これを装着していて改めて気付いたことがある。それは、すべての時計バンドの腕周りをほぼ19cmに設定している筆者だが、小ぶりの時計だと手首幅の下側へ時計がどうしても移動してしまう傾向にある。
しかし、この[SEIKO Premier]はラグの両端が手首に良くなじんで、ゆるめのバンドでもケースが回転移動しないのだ。
これは、他の時計では絶対に考えられないことで、時計ケースの大きさは見た目だけではないフィット感があるものだ。
と言うことで、最近ではこの時計のケース径φ42.00mmもあまり気にならなくなったが、一般的な腕周り17cm程度の人の場合には不釣り合いに大きく感じられると思う。それが、この逆輸入品を格安で入手できた理由なのかと納得している。
★ ケースの回転対策
[SEIKO Premier]のようなコマ移動が可能なメタルバンドはバックル位置をそれなりに調整できるのでまだ良いが、フリーサイズのメタルバンドとDバックルの革製・樹脂製のバンドはケース位置を整えると、バックル位置がとんでもないところに寄ってしまう。このことは何十年もあきらめていたことだが、穴通しの尾カンバンドからDバックルに変わってから嵩張るバックルの変な位置がさらに気になってしかたがない。
そこで、本日思い切ってバンドの上下を入れ替えることにした。当然ながらバックルの留め操作は反対になるわけだが、穴通し尾カンに比べると操作性が極端に悪くなったわけでもない。それよりもバックルが本来あるべき位置に納まることが、ケースの回転防止に大きく影響することがわかった。早々に、フリーサイズメタルバンドとDバックルの合計8本のベルト上下を入れ替えた。それぞれを試着した段階では非常に快適だが、このようなことを気にする人ははたして世の中にいるのか否か、ただ1人で満足している。
・・・つづく(もどる)
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