1970年代で最も美しい腕時計
ヴィンテージもので手巻きの「UNIVERSAL GENEVE」、自動巻では[WHITE SHADOW]の符号が付くこれらが筆者の好みでは最も美しいと思っている。ただし、適正に手入れされて履歴が明確な製品は、現在でも手が届かないのも事実だ。
筆者が22歳の頃、代理店のショーウインドウで何度か眺めた記憶があるが、石造りのビルの1階のガラス越しでも相当な感動があった。夜になるとガラスの前面にはシャッターが降りる厳重な店舗だった。
その後に自らの給料ではじめて新品の腕時計を購入することになった1975年時点では、機能性と耐久性を重視した結果、機械式腕時計への憧れから離脱してクォーツ式になれ親しんで50年が経過している。
1970年代後半の機械式腕時計が一部の高級機のステイタスになっていた頃、前述の「UNIVERSAL GENEVE」を意識した手巻き&自動巻の薄型腕時計として「SEIKO CHARIOT(シャリオ)」の存在は知っていたが、超硬ケースの「DOLCE(ドルチェ)」のお手頃感に傾いたあの頃を思い出している。
今、当時のシャリオを調べてみると、[CHARIOT 2220-0470(手巻きハイビート)]が「UNIVERSAL GENEVE」の雰囲気を醸し出していることがよくわかる。ただし、メンテナンスの合理性からベゼルは死守しているところがデザイン面で唯一異なるところだ。
腕時計の美しさの原点の一つがこれにあると言ってもの良い、「UNIVERSALとSEIKO」のオリジナル性という気がする。また当時の「CITIZEN」も間違いなくそれに追従している。ところが程度のよい[CHARIOT 2220-0470]はほとんどなく、しかも風防ガラスの入手も期待できないようだ。
★ 2針ならば機械式もクォーツ式も関係ない
確かに見た目では2針文字盤ならば機械式もクォーツ式も違いはない。ただし、かなり高級機種でないと手巻きでもクォーツ並みに薄いケースを得られないという程度だ。
このあたりはほとんど持ち主の自己満足の域になりそうで、ゼンマイがほどけて気が付いたら止まっていた、という事態も楽しみになり得る寛容さが必要なわけで、それ自体は決して合理的とは言えない。つまり、「暇をつぶす」楽しみは得てして合理性が犠牲になっている場合が多い。
2026.06.15
★ 程度の良い「CHARIOT」を見つけた
かれこれ数ヶ月は気にしていたのだが、1974年製で程度のよい前述の画像と同型番の「CHARIOT」をようやく入手した。
この頃だとまだ「自動巻」と「クォーツ式」の混在時期だと思うが、さすがに「手巻き」の機種はよほどのこだわりがないと持たないと思う。そのこだわりの一番は[軽さ・薄さ]だと思うが、毎日ゼンマイを巻いて時刻を合わせることに不自由さを感じない年代でなければ支持されなかったと思う。
ほぼベルトレスに近い商品だったのは好都合で、濃紺と黒のDバックル革バンド2本を購入した。手巻きケースの薄さは前述の画像のとおりだが、バンド込み重量がW=47gで、これは1979年に購入した「DOLCE」の革バンド仕様とまったく同じだ。つまり、手持ちの腕時計の中では最軽量の2本になる。
ムーブメントは「24石 2220A]で8振動(28,800bph)」のハイビート仕様だ。日常生活防水機能はなくパッキン類は装着されていない。従って、風防ガラス一体型のベゼルと裏蓋およびリューズ巻真のシリコン防水を再施工して、ついでに見た目だけの内部清掃を行っておいた。バンド幅は19mmで、筆者の腕周りでは18mmは頼りないのでちょうど良い。
筆者の太い手首だとケースサイズφ34.2mmはユニセックス風に映るが、厚みも含めてワイシャツの袖にも嵩張らず納まる点は、ラウンド形状の良さから「DOLCE」よりも優れている。
文字盤は反射加工により、濃紺→紺→メタリックブルーと変化するあたりはさりげない高級感がある。ホワイトの2針はそれらの環境下での視認性を考慮してのことだと思うが、インデックスは12時の溝のみが鏡面で、その他はすべてつや消しなのが針の印象と良く似合っている。
ゼンマイの巻き上げは手巻き併用の自動巻のようなフリーではなく、巻き上げ完了の感触が指先に伝わるのは懐かしい記憶だ。[CITIZEN CRISTAL SEVEN → SEVEN STAR DELUX]と[UNIVERSAL GENEVE → SEIKO CHARIOT」は長年のあこがれの品を、実用面での合理性を考慮した代替え選択だが、限りある筆者の経済的基盤からすると妥当な結果かと思っている。要するに細君の小言が出ない限界付近というところだ。
2026.06.25
★ 巻き上げ稼働時間の確認と最終調整
ゼンマイを巻き上げてからほどけて止まるまでの間は約31時間であることがわかった。当時の自動巻の手巻き巻き上げ後の稼働時間と比べてやや短いような気もするし、昨今の自動巻の場合の一般的な稼働時間が40時間程度なのと比べると明らかに短い。
ただし、ムーブメントの直径や厚みがかなり小型化されているので、ゼンマイを格納している香箱も当然ながらコンパクトなことを考え合わせるとこれはこれで正常なのかもしれない。
入手してから10日ほどが経過して安定性も確認できたので最終的な歩度調整を行う予定だったが、姿勢差が少し気になるので駆動部の注油を施してもうしばらく様子見ということにした。
★ 一日経過で改善の傾向がみえる
テンプ軸受けの注油で姿勢差が大幅に改善された。今回は給油措置ということにしておいて、ふたたび精度誤差が現れるようになれば分解掃除に出す必要がありそうだ。この先4・5日は様子をみて、最終的な歩度調整を済ませようと思う。装着しながらの現在の精度はおそらく日差+10~+20秒程度のようで、この先でビートエラーも追い込めばかなり良い状態に収束すると思う。いわゆるハイビートの精度を出せる状態のムーブメントというところだ。
2026.06.28
★ 歩度調整完了
数日前の補給注油で姿勢差も縮まったのでビートエラーを調整して歩度調整を完了した。また、ゼンマイ巻き上げ後の駆動時間も2時間延びて33時間になったことで納得の次第だ。
2026.06.29
★ SKAGENの圧倒的なコストパフォーマンス
「SKAGEN」はデザイン設計の意匠権はデンマークだが、ムーブメントは日本製の「MIYOTA」で原産国は中国なので、ムーブメント以外はミネラルガラス・ケース・文字盤・バンドの加工と組立のすべてが中国製という極めて製造原価の安価な汎用品になる。
従って、製品としての仕上がりの品質については、メッシュバンド先端カバーの裏側カシメをみればそのすべてがわかるというものだ。見えないところで手を抜くということに何の躊躇もない国民性が見てとれる。
このように、安価な故に愛着をもって大切に扱われる類いのものではないので、いわゆる使い捨てのような耐久消費財の印象があるが、筆者は前述の[SEIKO CHARIOT]と同等の扱いで日常的に使用している。
細いベゼルと曲面ガラスのエッジカットデザインはそれなりに洗練されている。そして、オールステンレスのわりには軽くて嵩張らないのは、[1976年製シチズンクォーツ]と同様で基本的な機能性が満足されている。このような製品にも魅力を感じられれば、時計道楽も決してお金のかかる趣味ではない。
・・・つづく(もどる)
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