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2026年7月21日 (火)

変わり文字盤

02__20260714212501 26089_gs ヴィンテージ腕時計の文字盤はホワイトかシルバーのヘアライン仕上げがほとんどだが、筆者は無反射のホワイトやランダムに輝くスノーホワイトおよびパールホワイトが好みだ。

手持ち品の中にはネービーやブラックと生成りおよびゴールドもあるが、手が届かないもので以前からどうも気になっていたのが、グランドセイコーの「白樺」文字盤だ。

ところが、あの「白樺」の雰囲気をわずかに思い起こさせる文字盤が細君用だが本人はあまり好みではないらしい「セイコー自動巻」にみることができる。カットガラスとも相まって美しいデザインだと思っているのは筆者だけだが、この雰囲気の文字盤は「ドルチェ」や「シチズンCQ」と先月入手したシチズンの「スノーホワイト」にも共通性がある。

しかし、「白樺」とは彫りの深さで根本的な文字盤の造りがまったく異なるようで、かなり独創的なデザインだと長らく思っていた。ところが今回、1974年製のシチズン「コスモトロン」を見たときに、「白樺」の原型のような文字盤がどうしても気になって購入してみた。

26091a_ 電池切れの廃棄品価格で、もとより文字盤を直接確認したかっただけだが、電池交換で運良く稼働し始めたので外装に少し手を加えて見栄えを良くしてみたら、一応彫り込みの刃の跡が見てとれる縦向きの模様はまさに「白樺」の原型ではないかと疑うばかりだ。

この半世紀前のデザインで現在もその輝きが褪せずに残っていたようで、その斬新さは好みが分かれるところだったと想像するが、今これを稼働状態で手にすると当時のシチズン製品に不思議な感動を覚える。

ただし、「白樺」のように大胆な切削仕上がりではなく、光沢のある筋彫りのようでそのあたりはコストとのせめぎ合いの結果と思う。このような文字盤表面は劣化やくもりへの耐久性が懸念されるためか、表面にはクリアー塗装が施されているようなので、ほこり落としは溶剤を一切使用せずに純水の湿気でほぼ空拭きで済ませておいた。

文字盤の反射とクリスタルガラス風防(今回交換)の華やかさがメンズの実用性を超越しているように思える。ベルトは夏らしく革製ホワイトを装着してみたが、マット仕上げのステンレスでも良い気がするので、そのうちにあれこれ試してみようと思う。

文字盤のデザインに意匠権があるとは思えないので、2社の考え方をどうこう論じる気はないが、ひとえに当時のシチズン製品の魅力を再発見した次第だ。以前の記事でも述べたが、1970年代前半の電磁テンプ時計は、「シチズンコスモトロン」と「セイコーエルニックス」だが、前者はテンプ駆動10振動で秒針は5振動、後者はテンプおよび秒針ともに8振動という違いがある。

見た目は当然ながら後者の8振動がいかにも高級機の雰囲気があるものの、見えない内部でテンプが10振動で稼働している前者の機構の設計意図がいったい何だったのかをあれこれ想像すると、2つの時計を眺めながらついつい時の経つのをわすれてしまう。

2026.07.29
★ 1975年製の「後期COSMOTRON」のカットガラス版
26092_ 風防ガラスをカット加工したものは、フラット型やカーブ型に比べてカットのエッジがどうしても傷つきやすい。従って、手元にあるカットガラスの製品は、[SEIKO LARDMATIC Special]の一つだけだが、これも風防ガラスは新品に交換している。

好んでカットガラスの製品を求めていたわけではないが、たまたま「後期COSMOTRON」の極めて程度の良いものを見つけたので、永久保存版として入手してみた。オリジナルベルトも腕周りが19cmあったので、めずらしくそのまま装着が可能だったのはうれしい。

風防ガラスはもちろん、ケース・ベルトもほとんど無傷なのと、長らく電池が抜かれていたらしいことから、どう考えてもコレクション品の様相が強い。実際に到着した製品を確認したところ、裏蓋の擦れ具合からも極めて浅い使用歴であることがわかった。

1972年製のセイコー9面カットガラスとこの5面カットガラスを比べると、こちらの方が文字盤が見やすく反射が上品だ。しかも、ガラスの透明感も優れている気がするのは、やはり「クリスタル」という商標がもつ品質の高さなのだろう。そしてこのクリスタルガラスだが、筆者の知る限りもっとも硬度が高い。おそらくサファイヤガラスの次のような気がする。

2026.07.31
★ 好みのいわゆる「バングルウォッチ」
26093_citizen-xc 一般的なブレスレットウォッチは留め具が明瞭なものを差し、留め具が省略されているもしくは簡略化されているものをバングルウォッチと呼ぶらしい。

さて、画像の[CITIZEN xC(クロッシー)レディース]はベルト通しのような金具が付くが、メーカーサイドでは「バングルウォッチ」として販売されたものだ。このベルト風留め具は装着時の確実性と調整の容易性で優れた構造だと思うが、使用に伴いベルト裏側の一部に「スレ」が発生するデメリットもある。

このあたりは適切なメンテナンスを行えば問題はないと思うが、一般的には劣化が早いデザインだと判断される可能性が高い。風防ガラスはクリスタルカット3曲面仕様で、文字盤は黒に近い濃紺なので、ガラスの反射がひときわ美しい。

そして、ケースおよびバンドのステンレススチールおよびクリスタルガラスともに、高硬度の材質のものが使用されているのは、さすがにヴィンテージものにはない時代の進化を感じる。

1990年から1999年まで販売された中の、これは1998年製の28年前のクォーツ駆動の製品だが、市場での品数は多く幅広い価格帯で買い求めることが可能だ。そのような数ある中から、使用感の少ないスレのない極めて美しい商品を探してきた。いわゆる「新品同様」といったところだが、50年以上前の筆者のメンズクォーツも見た目はほぼ新品同様なのでめずらしいものではない。

実際の製品を手にしてみると、鏡面やマット仕上げ部分の顕微鏡確認レベルのスレをとっておけば、完全無傷の外装に仕上がると思う。作業はお盆休みの楽しみにしておこう。手入れが整えば使用者の有無はともかく、純粋な魅力ある飾り物と考えているのは、おそらく家族の誰も気にも止めない雑貨のようなものだから。

2026.08.07
★ 仕上げ調整完了
26095_ ルーペ確認できるスレはすべて消し込んだ。クリスタル風防ガラスは無傷なので、仕上がりはほぼ新品同様になったが、仕上げの写真比較は難しいところがあるので、カタログ写真を追加してみる。

まだ家族に見つかっていないが、裏蓋と表面ステンレス部分にブルーの保護シールを貼って保管してあるので、次回の電池交換までそっとしておこう。このデザインはおそらく「gucci」のバングルウォッチを和風におとなしくアレンジして、シチズンらしくクリスタルガラスにこだわったものだと思う。

その意味ではバングルデザインよりも時計機能を優先した保守的な仕上がりで、それ故に野暮なデザインともとれる。いずれにしても、昨今の製品にはない高次元の遊び心がうかがえる秀逸品だと思っている。

ステンレス外装は使用に伴うスレが必ず発生するが、それはメンテナンスで何とかなるが、打痕は修正がほぼ不可能だ。従って、このような無傷ならこその製品は使用する「場」を考えて装着する必要がある。だからこそ、当分は時計ケース内に納まっているのが無難な気がする。

2026.08.08
★ 後期最終 SEIKO ELNIX SG
26096_seiko-elnix-sg 1974年製のおそらく最終型番のシリーズと思われる[SEIKO ELNIX SG 0723-7000]の文字盤が一風変わっている。虹色のグラデーション処理が施されており、ベゼル一体型の風防ガラスの縁取りデザインもいわゆるヴィンテージの雰囲気を脱して洗練された感がある。

運良く未使用の風防ガラスも入手できたので、組み付け後の仕上がり具合は極めて美しい。風防ガラスリングがベゼルと一体型なので、はめ込み時にガラスを割らないようにしなければならない。その意味でガラスの飛び出し量が極めて低くなっているように思う。

手元にあるビンテージもの文字盤の中では、ひときわ立体的なインデックスデザインで、筆者の好みからはやや離れるものの、長針と秒針がインデックスの上を動くことでまだ納得できる。最悪はすべての針がインデックスの内側を動くデザインで、こればかりはいただけない。

★ ベゼル一体型風防ガラスは勘違い
後書きになるが、交換用風防ガラスのセットに、ガラス・パッキン・およびベゼルが組み付けて梱包されていたので、一体型と勘違いをした。なお、ベゼルは表からは外せない切り込みがないタイプで、ムーブメント・文字盤を外して内側から押して外すようになっている。組み付けはその逆の手順で行う。

26097_seiko-elnix-sg しかし、圧入時にガラスを割る危険があるので、面倒だが風防ガラスをはずしてベゼルを先に圧入してから、手押しで風防ガラスを押し込むというやや面倒だが安全性の高い方法で風防ガラスの交換作業を行っている。

ケースのスレも完全に除去しておいたので、画像のようにほぼ新品の様相を呈しているのと、めずらしく19cmで使用可能な美しいオリジナルバンドが付属していたので、しばらくそのまま使用してみるがそのうちに適当な革バンドを探そうと思う。

★ SEIKO HARDLEX も美しい
風防ガラスは CITIZEN CRITAL が好みなのは、そのエッジカットからの反射光が意図的にスペクトル分解するようにやや大胆に研磨されているからだ。それに比べて SEIKO HARDLEX のエッジカットはややおとなしいのが一般的だが、本製品の交換風防ガラスセットは、社外品のためシチズン並みのエッジカットが目立つ。

文字盤が反射率が高い仕上げなのと、やや大きめの立体的なインデックスと太めの針の反射も強いことから、文字盤全体の輝きがひときわ美しく、バンドのデザインも良くマッチしている。そのせいかヴィンテージの雰囲気がやや希薄になった感がある。

2026.08.13
★ 革バンドはやはり心地よい
26098_seiko-elnix-sg 耐久性を考えるとSSバンドにかなうものはないが、軽さという点では革バンドに勝るものはない。使い慣れたこともあるが、2日間ほど純正のSSバンドを装着してみたがやはりその重さがどうしても気になる。

時計本体とほぼ同じ重さのSSバンド46gを装着したときの重さが96gになる。一方でDバックル革バンド18gを装着した状態での時計の重さは68gなので、これはかなりの違いを感じる。

手元にオードドックスな黒の革ベルトの予備があったので、これに付け替えてお盆らしいフォーマル仕様になったが、黒色のバンドはCASIO製の樹脂バンド以外には他にないのは単なる好みの結果だ。今回の場合には大ぶりで造形的なケースの輝きが目立つため、これでもかというくらいのSSバンドよりも、徹底的に落ち着いた黒が似合っている気もする。

数週間稼働させてから歩度調整を試みる予定だったが、現在のところ実装状態で日差+5秒という高精度で動いている。これは電磁テンプの中でもっとも精度が高く、年式が新しいことのせいもあるのかもしれない。

・・・つづく(もどる)

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