カテゴリー「つぶやき」の記事

2026年10月 9日 (金)

ひとりごと(順不同)

#641 ポイント付与のためにユーザー登録するリスク 2026.10.09
筆者の購買支払いはネット通販以外は基本的に現金で、何たらポイントの類いは一切登録していない。これは細君も同じで目に見えない関係を結びたくないためだ。昨今騒がれている顧客情報の流出事故だが、これは事故ではないと常々考えている。ポイントの対価として何らかの情報を提供しているのだから、その情報が二次流出するリスクがないと考える方がお花畑だと思う。携帯電話をかけた先によっては、その時点で電話番号の二次流出がある(細君)。サイトによってはネット注文した直後に決まったところから怪しげなメールが届く(筆者)。などなどはこれまでごく当たり前の情報流出として筆者は許容している。大切なのはその「許容」を超えさせない「自衛」だと思っている。

#640 富裕層を迎え入れる行政都市には住まない方が良い 2026.10.08
もしも、我が町に突然と高層マンション群が出現したり、インバウンド消費を目当ての無計画な店舗の出店が目立つようであれば、筆者はその気配を感じた時点で引っ越していたと思う。これは何も政令指定都市だけの問題ではない。いわゆるリゾート地と言われるところにおいても、同様の社会現象は数々見聞きするが、それは地域の歴史文化を含めて外部資本にビジネス対象として乗っ取られたと解釈するのがわかりやすい。この場合、社会形成の変化と同様のペースで賞味期限への崩壊が進行するのが世界の常のような気がする。早い話が物価相場を決定付ける主体が外部資本というのはビジネスの派生であり、人が住んで文化を醸成することとは無縁なのだから。

#639 言語文化は時代と共に変化してよいか 2026.10.07
結論から言うと時代とともに変化してきている。しかし、近年の少し気がかりな変化の中の一つに、「てにをは」の省略する言語表現はどうかと思っている。まず、ニュースの見出しにこの傾向が顕著だ。ワンフレーズでニュースの内容を伝えようとする工夫は認めるが、単語のみをただ並べた「テロップ」が一般化していることが、おそらく書き言葉(メール等)にも少なからず影響しているのを実感する。このことは言語の合理化とか時流とかの問題ではなく、大げさに言えば日本国に対する反社会的な外国人勢力の活動の一端のように見えてしかたがない。

#638 フラット風防ガラスの研磨(備忘録) 2026.10.06
完全にフラットな風防ガラス面の曇りを通常の方法(マイクロクロス+セシウム液)で研磨すると、周面のエッジがどうしても甘くなってしまう。そこで厚めのガラス板にセシウム液を一滴垂らして、風防ガラスを上から軽く押さえながら気長に指先で回転させると、非常に平滑な研磨が可能だ。おそらく2~3ミクロンのセシウム粒子をガラス同士の間で転がすような優しい研磨で、鏡面反射のゆがみを最小限に抑えることができる。最終的にはセシウム粒子は0~2ミクロン程度のペーストになるので、液量が少ないと上下のガラスが固着して回転できなくなる。この固着直前の摩擦をセシウム液で維持しながら研磨を行うのがポイントだ。

2026年9月22日 (火)

水難事故の背景

03__20260922095001 26117_ この夏も水難事故の記事が紙面を賑わしたが、何の前触れもなく集団の中で突然溺死するような、情報不足の不可解な記事がどうしても気になった。

この種の記事に共通する溺死者の情報だが、「未成年・本人および仲間の所属(学校等)不明・周囲の人の事情聴取情報なし等」でただ溺死した事実のみを報道するいうパターンだ。

確かに未成年の中にはある一定数の泳げない人はいる。しかし、集団で水辺へ出かける時点で泳げない人は決して水に近づかないはずなのに、なぜか溺れる事故を起こす。ここが報道情報だけではどうしても納得できないところだ。そのような三面記事の季節も終わろうとしている時に、興味深い統計情報を見かけた。

「世界の泳げる人の割合 2019-出典:Swimming skills around the world(OECD)」によると日本は40位らしい。ヨーロッパの国々では泳げることが大人になるための必須条件で、その後の人生に大きく影響するお国柄のところもある中で、海洋国と思っていた日本は意外のランクだ。

もしかして、筆者が小学生の頃の60年以上前に同じ統計資料があったとすれば、この日本のランクはもっと上位にあったのではないかと勝手に想像している。さらに勝手な想像だが、世界的にはこのグラフの割合は、国別で時系列的に変化するものではなく、日本だけが減少の傾向を示してきたのではないかと思っている。

以上はあくまでも筆者の個人的な人生経験に基づく憶測だが、この事実があるとすれば、報道記事の奥歯にものが挟まったような情報の背景におよその想像がつく。ということで、夏の終わりにひとりすっきりとした気分に浸っている。

★ OECDの報告書概要見出し 2022
「成人の補助なしで泳ぐ能力について、世界初となる推計値を提示します。高所得国の成人は、低所得国の成人に比べて、補助なしで泳げると回答する割合が著しく高い傾向にあります。こうした格差は、国国内においても存在します。特に女性は、ほぼすべての国、出生コホート、教育水準において、男性よりも補助なしで泳げる割合が低いという結果が出ています。」

話はそれるが、かつての水泳やスケート界の差別慣習が避難されたことを記憶しているが、近年では国際規格のプールとリンクで練習ができるようになるには、高所得の家庭環境が必須のような気もする。

・・・つづく(もどる)

2026年9月 1日 (火)

自治会掲示板の新設

03__20260901105601 26107_ 町内で工事が進行中の都市計画道路の歩道脇に自治会が管理する掲示板を新設することになった。自治会では3箇所に掲示板があり、集会所軒下や遊歩道などに押しピンで留める昔ながらのオープンタイプなので、掲示物は大抵パウチ加工を行って掲示している。

そのようなレトロな情報発信に今日ではどれだけの意味があるのかという疑問の声もある中で、今回の新設掲示板には新たな試みに期待するところがある。もとより自治会地域内に特化した情報発信が主になるので、掲載数は多くないこともあり、掲示板の余白部分に個人作品(俳画、パッチワーク、刺繍、その他)を展示できるような、ガラス戸構造の掲示空間を持つものにしようかと思う。

考え方次第ではガラス戸を損壊させるいたずらを誘発するリスクもある。しかし、自治会活動の最重要項目である防犯活動の成果を確認しあう証として、町の掲示板が健全に維持できるように住民意識の啓発に役立つ気がする。

★ 自治会の防犯理念
ゴミ捨てや犬の散歩時の糞尿の不始末など、かつてはそれを解決するのが自治会の役目だという考え方の人も多かった。また、防犯カメラを設置せよとか、張り紙看板をもっと配布せよなど、直接的な禁止警告を継続するのが防犯活動の解決手段だと考える人も多かった。

しかしながら、地元警察署の協力による年末の防犯パトロールは公的活動の代表だが、日常的には[道路付帯物の落書きを消す、各戸の敷地廻りの清掃をする、公園の清掃や花壇の手入れをする、防犯灯の不備をなくす]などの、反社会的な行為の芽を摘むような活動に住民協力の理解を得るようになった。そしてその効果が確実に実っている気がする昨今だ。

3自治会で構成される小学校校区には、有名どころの宗教法人の本部と別館がある。それぞれの入り口守衛室はガラス張りの24時間勤務態勢で誰かが常駐している。ここのおかげもあり、町内のメインストリートには犯罪への「隙」がまったくない。これは通りの反対側に立地する警察署よりもはるかに防犯効果がある。

★ 犯罪意識の深層理解
交通違反をいくら厳しく取り締まっても、その効果が全く届かない犯罪意識の持ち主が一定割合でいる。そのような一般の人からみれば反社会的行為を自覚できない者は、たとえ検挙されても改心することはない。というのが筆者の大まかな犯罪意識の深層理解だ。そのような社会構成の中で少しでも地域の安全を向上させるためには、住民が地域の構成員であることに気付くような集まりの文化活動、具体的には祭礼や伝統的神事や町の美化活動などの啓発活動に力を注ぎ、かりそめの居住地ではなく自分たちの町意識を少しでも高めることだと思っている。

筆者は中学2年生まで人口数百万人規模の大都会で育ったが、当時の町内会意識の浸透具合は数万人規模の市町村と何ら変わらなかった気がする。ところがあれから60年以上が経過した現在では、大都会と地方の市町村との住民の我が町意識のズレは想像を超えるものがある気がする。いわゆる「向こう三軒両隣り」の付き合いを敬遠する世代が日本経済を牽引してきたようだが、これは日本史からすると昭和以降のごく最近の風潮でしかないと思っている。従って、居住地への我が町意識の重要性については、次世代には崩壊するかもれない、今ではあたりまえの安全・安心のお花畑感覚に代わる新たな価値観を期待したいところだ。ただし、その頃には筆者はもういないと思う。

★ 黄色い「安否確認タオル」の疑問
26109a_ 当自治会では、昨年の今頃に、表題のタオルを市から1400枚支給された。早速配布時のメッセージとしてこのタオルの使用方法のちらしを作成した段階でタオルの配布を断念して、1年間集会所の2階に段ボール7箱が積み上げられている。

本市ではそもそも安否確認をどの組織が主導的に行うのかが明確になっていないことと、災害時の行動タイムスケジュールに、このタオルがどのようにリンクするのかも明確でない。ましてや、このタオルの使用方法について公的な発表が一切ない状況下で、いきなり自治会へ現物が届けられたわけで、とりあえず自治会で急遽右のようなちらしを作成したわけだ。

しかし、いざタオルを配布する段階で、はたしてタオルを配布することが災害後の復旧や人命救助にどれだけ役立つのかを議論した結果、配布を断念して今年も集会所の2階に積み上げられている。

・・・つづく(もどる)

2026年8月30日 (日)

腕時計ケースのポリッシュの是非(備忘録)

03__20260830155301 腕時計の修理を生業にしている方々は、腕時計のケースはポリッシュしないと発言されているのがほとんどだ。もっとも、彼らがその対象としている時計は世界一流の高級ブランド品で、しかもそのほとんどは正規代理店で新品を購入しているという前提である。

そのもっともらしい理由が実に興味深い。まず、経年劣化でステンレスケースやベルトに付くスレキズは、自身の人生そのもので全く気にならないらしい。風防ガラスのキズについても、いつ付いたキズという記憶の思い出であり、視認性に問題なければそのまま使用する方が自然である。はたまた、研磨で重量が減るとまで述べられているのは、金張りの時計を指しているわけで一般的ではない持論で、オーバーホールと歩度調整で動作がいつも完璧であることの方がはるかに重要だという。

この考え方は資産価値としての高級腕時計を対象とした場合には一理あるとともに、スタイリストではなく時計修理技能士としてはまともな発言だと思う。ただし、我々一般ユーザーは時計修理技能士ではないのと、資産価値になるような腕時計を貯め込んでいるわけではないので、やはり手入れしてオリジナルの美しさが蘇るのであれば、「車」のように時には外装も磨いて気持ちよく使用したいものだ。

まあ、前述の「ポリッシュ」とはルーターにフエルトバフを装着してコンパウンドで手当たり次第に磨くという、ほとんど論外な行為を指しているらしいことは想像できので、その点についてはごもっともという感もある。そこで筆者がヴィンテージものの腕時計を入手した場合に行うお決まりの手入れの手順と留意点を備忘録として書き留めておく。

26105a_ <作業手順>
・裏蓋を開けてムーブメントをケースから分離し、文字盤のほこりの有無を確認してきれいな状態で別保管する。
・裏蓋を戻して、ベゼル+風防ガラスを外す。
・風防ガラスは無傷に近い場合を除き、純正または互換品の新品を注文する。
・裏蓋とベゼルは低回転チャックで回転研磨で仕上げる。
・ケースの平面部はアルミ製の耐水ペーパーホルダーで、正確に平面研磨で仕上げる。
・ケースの曲線部で回転研磨ができない3次曲面部も上記の耐水ペーパーホルダー面を振りながら研磨仕上げを行う。
・耐水ペーパーの番手は、#400(#600)→#800→#1000→#1500
・コンパウンドの番手は、#5000(ピカール)→#6000(青棒バフ:鏡面調整)→#10000(ダイヤモンドペースト:くもり取り)
・洗浄で終了

<留意点>
・オリジナルの面構成(平面、円弧曲面、3次曲面)を確認する。
・オリジナルのエッジ位置を確認する。
・オリジナルの仕上げ種類(ヘアライン、方向性鏡面、完全鏡面)を確認する。
・研磨面の仕上げ順序(鏡面部を優先)を決める。
・エッジを極力なめない。
・ネジ切り部と嵌め込み部は絶対に研磨しない。
・青棒バフは部分調整用でこれを仕上げに用いない。(平面度や曲面の均一性が損なわれる)
・すべての作業は単一作業に分解してその成果を翌日に確認してから次の作業に進む。

平面仕上げが一番難しいのは、鏡面になった段階でその精度がわかるのと、その時点での修正が出来ない点だ。平面精度は#400(#600)で決まるのでこの段階が一番重要だ。その感覚は大工道具の「鉋(かんな)とノミ」の刃を研ぐ際の指先感覚とよく似ている。

この標準的な手順で、オリジナルケースのエッジ部分と鏡面とヘアラインの競合を正確に再現した結果の一例が「平面仕上げデザイン仕様」で鏡面とヘアラインの組み合わせものや、上の画像のようなものになる。これも風防ガラスが新品なので、全体的に目視でスレやキズは確認出来ない状態に仕上がっており、オリジナルのエッジもほぼ残っている。なお、ヘアライン部に数点の微かな打痕が残っているが、これを無理に取ろうとすると平面精度が根底から崩れる。

2026.09.07
★ 1970年製の手持ちの中で本も古い自動巻
26110_sevenstar-v2 初期の[CITIZEN Seven Star V2]の、キャリバー 5270 21石 18,000振動で、この後のモデルでハック機能が付いて21,600振動になり、後期型ではターンプッシュ式のカレンダー機構になる。本製品はハック機能もないので、時報合わせには少しテクニックが必要だが、高精度よりも安定性を重視した18,000振動の堅牢なタイプだ。

Cristal Seven と同種のクリスタルガラス風防を備えるところが気に入って、半年前に入手して未整備で自動巻き上げ機に装着したまま放置していたが、先日になってようやく手入れを行うことになった。ガラス風防は無傷なので、ケースのスレを整えて歩度調整を済ませた。

ビートエラーの収束に少し手間取ったが、最終的な歩度調整に大きな問題はなく、姿勢誤差の最大公約数的なところを見いだしてみると、以外にも誤差が小さく満足している。現在+5秒/日で調整済みだが、56年前のこの汎用キャリバーでここまで調整を追い込めるのは驚異的かもしれない。

おそらくトータルの稼働期間がかなり短い可能性がありそうなので、この先も十分使用に耐えられる実用品だと思う。

・・・つづく(もどる)

2026年8月 4日 (火)

二重構造冷水ポット

03__20260804160301 26094_-18l 飲食店でよく見かける、外が結露しないあのグリーンの業務用樹脂製冷水ポット(1.8L)だが、手元にある真空二重ガラス製のポット(1.0L)より使い勝手がよさそうなので、数日前に一つ注文してその出荷状況を毎日確認していた。

ところが、昨日までは大手通販サイトおよびメーカー直販にて1500円前後で販売されていたのが「アマゾン」を除いて一斉に姿を消しており、購入したメーカーの直販サイトの履歴画面からも、画像情報が削除されている。

無論、注文そのものは受け付けてもらっているので問題ないが、おそらく新旧商品の一斉入れ替えだと思うが、突然の出来事に「熊本地震」の影響をついつい疑ってしまう。

ところが、早々に数倍の価格で販売している気の早い業者も出没しているようで、悪意に満ちた商売をし始めたとすれば腹立たしい限りだ。「東北地方太平洋沖地震」の時にはその1週間前に、26KVAのガソリン発電機を発注したところ、国からの要請でメーカーの出荷制限がかかったものの、注文書の日付けからメーカーが国交省の了解を得て、九州の支店から在庫商品を急遽発送してもらったことがあった。

今回はたかだかポット一つの話だが、メーカーの商品入れ替えのような非日常的な市場の動きに乗じて、不当な商売を画策する連中が出てくればへきへきする。

2026.08.09
★ 所持してみてわかる合理性
商品は無事到着した。その後も本製品の不当販売の兆候はないようだ。同種のものがいくつが販売されているようだが、1.8L以上で2重構造のものは他に見当たらないのと、透明なポリカーボネート製も魅力的だと思ったが、本製品のコストパフォーマンスが圧倒的だったことを付け加えておきたい。

蓋の大きさは尋常でない。おそらく業務用製氷機の氷をそのままスコップで投入できるようになっている。蓋の切り欠き注ぎ口は、蓋を回転してスリット有・なしの両方が選択できる。おそらく氷が小さくなってきた際に、注ぎ口からでないようにするためだと思う。

二重構造の断熱性能は確かに感じる。しかし魔法瓶のような密閉型の蓋ではなく、注ぎ口がオープンのままで傾ければいつでも冷水が出る利便性を優先しているのは知ってのとおりだ。これで保冷性能が半減しないものかと思っていたが、冷房の効いた室内だと普通に冷たく感じる程度の保冷効果はほぼ12時間程度は続く。朝に上部1/4ほどに氷をいれた1.8Lの氷水をセットして、夜までに呑みきるくらいであれば卓上にいつでも冷水が確保できている。1人用ポットとしてはちょうど良い。

・・・つづく(もどる)

2026年7月10日 (金)

アジアの道路網規模

03__20260710075101 26084_ グーグルマップを国別まで上空視すると、幹線道路とおぼしき道路標示の比較が興味深い。日本の一桁国道(国管理)レベルの幹線道路網の密度が、中国および韓国と比べて極めて分散的で計画的であることが見てとれる。

しかも、道路が設置できない山間部の多さに改めて気づく。つまり、保水性のたかい国土であることの証だ。(画像拡大要)

即ち、豊かな水資源の地勢的根拠が、この道路網の比較でおよそ想像できるが、大雨の時期に発生する土砂災害による道路の通行止め防止対策は、少なくともこの地図に表現されている道路網の優先順位が極めて高いことは、百も承知だという日本らしい計画性だ。

物事の優先順位という考え方は、B/C(利便性と経済性)がもっとも一般的だが、そうなると、中国や韓国のように道路網整備の優先順位は経済活動が決定要因になってしまう。

日本のように、国土を健全な状態で維持するための道路整備への国家レベレの判断は、必ずしも「B/C」だけではない、いわゆる政治判断を伴うのもという考え方も理解出来る。

・・・つづく(もどる)

2026年7月 3日 (金)

シャクヤクの切り花

03__20260703104001 26054_ この時期は切り花の種類が多くしかも安価らしい。細君は鉢植えの季節の花を含めて、玄関ポーチや庭の手入れに余念がない。

しかし、切り花は楽しめる時間が限られているわりには記録に残すのをついついおろそかになる。今回は久々の「シャクヤク」なのでその短い開花時間を記録に残してみた。お手前は「暇つぶし流」になる。

仕事場の切り花は概ね2日おきで入れ替わるのだが、そのほとんどは眺めて楽しんで終わる。細君はお店で思案して持ち帰って生けて楽しむ。今回はその最後の一番良いところだけを横取して眺めている。

・・・つづく(もどる)

2026年6月11日 (木)

1970年代で最も美しい腕時計

03__20260611090001 26071_universal-geneve ヴィンテージもので手巻きの「UNIVERSAL GENEVE」、自動巻では[WHITE SHADOW]の符号が付くこれらが筆者の好みでは最も美しいと思っている。ただし、適正に手入れされて履歴が明確な製品は、現在でも手が届かないのも事実だ。

筆者が22歳の頃、代理店のショーウインドウで何度か眺めた記憶があるが、石造りのビルの1階のガラス越しでも相当な感動があった。夜になるとガラスの前面にはシャッターが降りる厳重な店舗だった。

その後に自らの給料ではじめて新品の腕時計を購入することになった1975年時点では、機能性と耐久性を重視した結果、機械式腕時計への憧れから離脱してクォーツ式になれ親しんで50年が経過している。

26072a_seiko-chariot-22200470 1970年代後半の機械式腕時計が一部の高級機のステイタスになっていた頃、前述の「UNIVERSAL GENEVE」を意識した手巻き&自動巻の薄型腕時計として「SEIKO CHARIOT(シャリオ)」の存在は知っていたが、超硬ケースの「DOLCE(ドルチェ)」のお手頃感に傾いたあの頃を思い出している。

今、当時のシャリオを調べてみると、[CHARIOT 2220-0470(手巻きハイビート)]が「UNIVERSAL GENEVE」の雰囲気を醸し出していることがよくわかる。ただし、メンテナンスの合理性からベゼルは死守しているところがデザイン面で唯一異なるところだ。

腕時計の美しさの原点の一つがこれにあると言ってもの良い、「UNIVERSALとSEIKO」のオリジナル性という気がする。また当時の「CITIZEN」も間違いなくそれに追従している。ところが程度のよい[CHARIOT 2220-0470]はほとんどなく、しかも風防ガラスの入手も期待できないようだ。

★ 2針ならば機械式もクォーツ式も関係ない
確かに見た目では2針文字盤ならば機械式もクォーツ式も違いはない。ただし、かなり高級機種でないと手巻きでもクォーツ並みに薄いケースを得られないという程度だ。

このあたりはほとんど持ち主の自己満足の域になりそうで、ゼンマイがほどけて気が付いたら止まっていた、という事態も楽しみになり得る寛容さが必要なわけで、それ自体は決して合理的とは言えない。つまり、「暇をつぶす」楽しみは得てして合理性が犠牲になっている場合が多い。

2026.06.15
★ 程度の良い「CHARIOT」を見つけた
26073c_seiko-chariot-22200470 かれこれ数ヶ月は気にしていたのだが、1974年製で程度のよい前述の画像と同型番の「CHARIOT」をようやく入手した。

この頃だとまだ「自動巻」と「クォーツ式」の混在時期だと思うが、さすがに「手巻き」の機種はよほどのこだわりがないと持たないと思う。そのこだわりの一番は[軽さ・薄さ]だと思うが、毎日ゼンマイを巻いて時刻を合わせることに不自由さを感じない年代でなければ支持されなかったと思う。

ほぼベルトレスに近い商品だったのは好都合で、濃紺と黒のDバックル革バンド2本を購入した。手巻きケースの薄さは前述の画像のとおりだが、バンド込み重量がW=47gで、これは1979年に購入した「DOLCE」の革バンド仕様とまったく同じだ。つまり、手持ちの腕時計の中では最軽量の2本になる。

ムーブメントは「24石 2220A]で8振動(28,800bph)」のハイビート仕様だ。日常生活防水機能はなくパッキン類は装着されていない。従って、風防ガラス一体型のベゼルと裏蓋およびリューズ巻真のシリコン防水を再施工して、ついでに見た目だけの内部清掃を行っておいた。バンド幅は19mmで、筆者の腕周りでは18mmは頼りないのでちょうど良い。

26074_seiko-chariot-22200470 筆者の太い手首だとケースサイズφ34.2mmはユニセックス風に映るが、厚みも含めてワイシャツの袖にも嵩張らず納まる点は、ラウンド形状の良さから「DOLCE」よりも優れている。

文字盤は反射加工により、濃紺→紺→メタリックブルーと変化するあたりはさりげない高級感がある。ホワイトの2針はそれらの環境下での視認性を考慮してのことだと思うが、インデックスは12時の溝のみが鏡面で、その他はすべてつや消しなのが針の印象と良く似合っている。

ゼンマイの巻き上げは手巻き併用の自動巻のようなフリーではなく、巻き上げ完了の感触が指先に伝わるのは懐かしい記憶だ。[CITIZEN CRISTAL SEVEN → SEVEN STAR DELUX]と[UNIVERSAL GENEVE → SEIKO CHARIOT」は長年のあこがれの品を、実用面での合理性を考慮した代替え選択だが、限りある筆者の経済的基盤からすると妥当な結果かと思っている。要するに細君の小言が出ない限界付近というところだ。

2026.06.25
★ 巻き上げ稼働時間の確認と最終調整
ゼンマイを巻き上げてからほどけて止まるまでの間は約31時間であることがわかった。当時の自動巻の手巻き巻き上げ後の稼働時間と比べてやや短いような気もするし、昨今の自動巻の場合の一般的な稼働時間が40時間程度なのと比べると明らかに短い。

ただし、ムーブメントの直径や厚みがかなり小型化されているので、ゼンマイを格納している香箱も当然ながらコンパクトなことを考え合わせるとこれはこれで正常なのかもしれない。

入手してから10日ほどが経過して安定性も確認できたので最終的な歩度調整を行う予定だったが、姿勢差が少し気になるので駆動部の注油を施してもうしばらく様子見ということにした。

★ 一日経過で改善の傾向がみえる
テンプ軸受けの注油で姿勢差が大幅に改善された。今回は給油措置ということにしておいて、ふたたび精度誤差が現れるようになれば分解掃除に出す必要がありそうだ。この先4・5日は様子をみて、最終的な歩度調整を済ませようと思う。装着しながらの現在の精度はおそらく日差+10~+20秒程度のようで、この先でビートエラーも追い込めばかなり良い状態に収束すると思う。いわゆるハイビートの精度を出せる状態のムーブメントというところだ。

2026.06.28
★ 歩度調整完了
数日前の補給注油で姿勢差も縮まったのでビートエラーを調整して歩度調整を完了した。また、ゼンマイ巻き上げ後の駆動時間も2時間延びて33時間になったことで納得の次第だ。

2026.06.29
★ SKAGENの圧倒的なコストパフォーマンス
26080_skagen 「SKAGEN」はデザイン設計の意匠権はデンマークだが、ムーブメントは日本製の「MIYOTA」で原産国は中国なので、ムーブメント以外はミネラルガラス・ケース・文字盤・バンドの加工と組立のすべてが中国製という極めて製造原価の安価な汎用品になる。

従って、製品としての仕上がりの品質については、メッシュバンド先端カバーの裏側カシメをみればそのすべてがわかるというものだ。見えないところで手を抜くということに何の躊躇もない国民性が見てとれる。

このように、安価な故に愛着をもって大切に扱われる類いのものではないので、いわゆる使い捨てのような耐久消費財の印象があるが、筆者は前述の[SEIKO CHARIOT]と同等の扱いで日常的に使用している。

細いベゼルと曲面ガラスのエッジカットデザインはそれなりに洗練されている。そして、オールステンレスのわりには軽くて嵩張らないのは、[1976年製シチズンクォーツ]と同様で基本的な機能性が満足されている。このような製品にも魅力を感じられれば、時計道楽も決してお金のかかる趣味ではない。

・・・つづく(もどる)

2026年5月 7日 (木)

LIGE(西の大陸国メーカー)機械式腕時計

03__20260506213801 26041_lige_ この国の腕時計には製品であれムーブメントであれもとより興味がないが、とある事情で筆者の手元にそれが1個ある。アマゾンで1万数千円から2万円程度の商品のようだが、機械式(自動巻)ということで、今ではその性能をチェックできる「タイムグラファー」があるので、思い出したように、引出から持ち出してみた。

これまで引出に仕舞っていたのは、ケースの大きさが半端ではない43.7mm(リューズを含まない)なので、非実用的ということでその出番がなかったわけだが、早々にこれの精度を確認してみた。

驚いたことに、日差数十秒の値は姿勢差がなく、ビートエラーも0~0.3という結果だった。しかも振り角が240°程度で非常に力強いムーブメントだ。どうもこの振り角の大きさが姿勢差を抑えているようだ。

一般的にいわれることは、この力強いゼンマイの解け方に由来する「耐久性」に問題が多く内在しているらしく、数年間程度が限界とも言われている。おそらく、巻き上げからの放置駆動は国産品のような長時間駆動は望めない気がする。このあたりを確認するために、1週間程度これを実装してみようと思う。

2026.05.08
実際に手にしてわかってきたことだが、まずケースの材質が一般的なステンレスではなく鉄に銅メッキをして仕上げにチタンコーティングを施しているようだ。見た目の輝きは問題ないが、母材が鉄なので柔らかく、ひとたびキズや当てが生じると修正がほぼ不可能だ。この異種金属の複合層のためか、裏蓋やベゼルが簡単には外れない。ほぼ電食の影響で一体化しているようにも思える。

風防ガラスの内側の研磨が甘く材質が良くない水色ガラスなので、ベゼルを外そうとしたらいきなりガラスが外れた。案の定、ガラスの内側はもやもや状態だったので表側と同レベルまで研磨仕上げを行い、何とか安物のミネラルガラス並みにはなった。その作業の中で気づいたことだが、テンプの歩度調整が文字盤側から行う構造になっているのは、もとよりメンテナンスをする気のない設計のようだ。

次に、手巻きによる巻き上げからゼンマイ解放まで20数時間のような気がする。これは国産製品の1/2程度で、それに追従する自動巻きの能力が不足しているように思う。屋外で活動しない生活スタイルの場合にはゼンマイ巻き上げ不足で止まることが容易に想像できる。つまり、粗雑な扱いではじめて駆動が維持できて、自動巻ムーブメントが壊れるまでメンテナンスは不要だが、止まればそれでお払い箱という発想なのはこの国の製品に共通するところだ。

最後にムーンフェイズだが、これは昼夜表示で月の満ち欠けを表現するものではない。全体的にどうも胡散臭い設計と品質がうかがえるようで、基本的なカレンダーと時刻情報を確認することも煩わしく思えるところが情けない。おそらく2度と手にすることはない気がするので4日目にしてお蔵入りというか、ほぼ廃棄物になることが決定した。

2026.05.09
西は西でも「デンマーク製」のファッション時計
26043_skagen-355lssm 昨年の10月に購入したファッション時計[ice watch]のデザインはベルギー製でムーブメントは日本製だが、今回の[SKAGEN 355LSSM]はデザインがデンマーク製でムーブメントは同じく日本製(MIYOTA 1M12)になる。

販売当時の定価が2万円以下のこれもファッション時計の類いではあるが、オールステンレスケースに硬質ガラス製風防の、特にメッシュベルトの取付デザインが凝っている。大きさもリューズを含み外径がφ35.8mmというのは扱いやすい。そのわりには、秒針が外枠近くまで延びているので文字盤は実際以上に大きく見える。

いずれにしてもファッション時計らしく、三千円でおつりがくる消耗品価格で購入したが、筆者はそのデザイン性と材質およびムーブメントにそれなりの価値を見いだしている。表面からのスリムな印象は、あこがれの「ユニバーサル製」に似た雰囲気がある。本製品の履歴の程度が不明なこともあり、後日に予備の新品ムーブメントも別途準備して、本気で長く楽しもうというところだ。

新品のムーブメントは、いわゆる時計修理技能士の検定課題製品に選定されているようで、その関係の方から動作確認のみの未使用品を格安で入手することができた。本体と予備のムーブメントを合計しても国産ヴィンテージ風防ガラスの半額程度なので、まあ納得のできるところだと思う。

26044_miyota-1m12 もっとも、ムーブメントの交換は針の付け替えと文字盤の入れ替えを含めて少しだけ経験の必要なことだが、これを習得すれば時計のメンテナンスの幅が飛躍的に広がる。無論ある程度の失敗の経験も必要だが、手順を追って決して急がずに事を運べば、いわゆる分解作業の一歩手前までのスキルはそれほど高くない気もする。

今回の場合には、この先でムーブメントの交換を行う場合の文字盤外しは、裏蓋径とベゼル径にあまりの差があることから、ベゼルと風防ガラスも同時に外す必要があるような気がする。それはその時になってまた思案すれば良いことだ。

(備忘録):ムーブメントの交換手順
 ・ベゼルを緩めておく
 ・裏蓋を開けてオシドリを探し、巻真を抜く
 ・ベゼルと風防を同時に外して、表側からムーブメントを取り出す
 ・針を抜いて文字盤を外し、ムーブメントを交換する
 ・文字盤と針を戻してムーブメントをケースに収めて巻真をさす
 ・裏蓋を閉めて、ベゼルとガラスを戻す

2026.05.12
★ 商品と替えのムーブメントが届いた
製品が到着したものの動作確認ができていない。ムーブメント「MIYOTA 1M12」の標準電池は「SR621SW」で厚みがt=2.10mmだが、製品に装着されていた電池は「SR616SW」でその厚みがt=1.55mmになっていた。その厚みの差は0.55mmで、バネの遊びの範囲内のような気もするが、製品の電池の取り外し時の雰囲気が結構ぴったりだった気もするため、安全のために「SR616SW」の到着後に改めて動作確認を行うことにする。

上記の電池で動作の確認ができれば、次回の電池交換の際には「MIYOTA 1M12」の標準電池の挿入可否を試してみることにして、本件は特段慌てることもない気がする。ようするに、当面は動作の確認が最優先になる。

26048_ 一方で、ケース・裏蓋・ベゼル・風防ガラス・バンドのチェックと清掃を行っている過程で、想像以上にパーツの完成度が高いことに驚いている。裏蓋のパチンと閉まる感触や、ガラスとベゼルの取り合い部分の精密さと、曲面ガラスの輝きやエッジ研磨の精度は、近年の国産製品には見られない華奢だが精密な仕上がりだと思う。しいて言えば、1970年代の手巻きハイビートの「SEIKO シャリオ」の造りと酷似している。

また、専用のメッシュバンドを取り付けるラグのデザインが洗練されている。メッシュの密度も非常に緻密で2重バックルだがほとんど嵩張らない。同様のメッシュバンドは安価な中国製も氾濫しているが、バックルの留め位置範囲のメッシュバンド裏側には、あらかじめギザ溝がプレスされているところのオリジナル性の気配りが良い。

そのようなことから、是非とも電池交換で無事駆動してほしいものだ。万一不動の場合には早々にムーブメントの交換を行う予定だが、ベゼル・風防ガラスの取り外しには最大レベルの緊張感を伴う作業になる気がする。「MIYOTA」よ、蘇ってくれ。

2026.05.13
★ MIYOTA 1M12 再始動で予備のムーブメントは保管しておく
ボタン電池「SR616SW」がぴったり入り駆動を確認した。後でわかったことだが、購入時の画像と商品が到着後に撮影した画像で、時分針は別として秒針が25秒動いている。これは手元にあった「SR621SW」を入れようとして、サイズの違いに気付いて取り出したわずかな間の通電で秒針が動いたことを示している。

その後に「1M12ムーブメント」の数々の画像で装着電池を調べてみると、電池フォルダーの爪が樹脂製のものは「SR621SW」で、本製品のように爪が金属製のものは「SR616SW」のような気がする。とにかく、電池ホルダーのバネの余裕はほとんどないこともわかり、どうも再購入したボタン電池が正解のようだ。商品を手元において2日間駆動確認ができなかったこともあり、本日の電池装着後の感動は格別だ。

クォーツ駆動で歩度調整もないのと、定番の「MIYOTA製ムーブメント」なので、裏蓋を閉めて一通りの整備は終了した。国産品にはないデザインセンスの良さを正統派パーツで仕上げた[SKAGEN]の評価を、筆者の感覚で勝手に秀逸品だと思って記事にしている。この製品を他人が装着しているのを見ると、普通の「ファッション時計」だと思うのは、ブランド名の知名度が低く華奢な造りが一見チープに思えるからだ。

しかし、よくよく眺めると風防ガラスやベルト素材とその仕上げ具合に意外性を感じ取れる人は世間にどれくらいいることだろうか。まあ、チープカシオと同類に見られる可能性もあるが、この腕時計は自らが眺めて楽しむ代表格の一つ、もしくはカテゴリーのような気がする。

 ・ムーブメントは「MIYOTA製」(シチズンの主要取引先メーカー)で開発コストがかからない
 ・ケース・文字盤・風防ガラスはスイス製(RADO等)のノウハウが生かされているようで、EU圏内で製造している気がする
 ・ベルトもスイス製のノウハウがもとで、現在では中国生産の汎用品でコストを抑えている
 ・結果的にファッション時計の価格帯で販売されているが、いわゆる出来は良い。

これが、デザイン企画とムーブメント・ケースの製造まで中国製ならば、どこまでもファッション時計の域を出ない商品で止まっていただろうし、付加価値が皆無なゴミになっていただろう。つまり、独自性と品質管理の概念のない商品はもう生き残れないということだ。その意味では、国産品の[ALBA],[Q&Q],[LEGNO]などよりも永く楽しめる。

2026.05.14
★ RADO クォーツのムーブメント
RADO製においても、1980年代以降のクォーツムーブメントはどうも「ETA(エタ)」製が多く使用されているようで、[DIASTAR 129 0286 3、DIASTAR 152 0341 3]もそのムーブメントは「ETA」製だ。世界中の時計メーカーで自社製ムーブメントを保有しているのは意外と少なく、だからこそ時計の整備性には共通するところが多く、ある意味で完成された工業技術の一つだと言える。

Eta-956412 したがって、腕時計というものは新製品を追う必要がなく、適正に整備されていればいつの時代のものでも安心して楽しめる不思議なアイテムだと思う。そうなると、日本の2大メーカーである「SEIKO」と「CITIZEN(MIYOTA)」が競合しているこの国の工業製品市場というのはかなり特異なのかもしれない。というか恵まれていると解釈してよい。

今回、「DIASTAR 129 0286 3」のムーブメント「ETA 956.412」の整備済み商品を偶然見つけたので、不測の事態に備えての予備機として注文しておいた。ちなみに時計本体は40年以上前のモデルだが、ムーブメントがその前後のいつの時期のものかは定かではない。しかし外見からはかなり新しい気がする。ちなみに、このムーブメントの大きさはφ20.0mm×t2.0mmで、まるでレディース用かと思うほど小ぶりだ。

★ ムーブメントの交換
「RADO DIASTAR」は今現在全く問題なく稼働しているが履歴がわからない。一方で、ほぼ新品のムーブメントが到着したが、これに入れ替える事態がこの先いつなのかを予測することも難しい。むしろ、今交換しておく方が不測のリスクを回避できることは明らかなので、深夜の邪魔が入らない時間帯に、ムーブメントを交換することにした。

三針を取り外して、文字盤の足3本の固定状態を確認したが、どうも文字盤の足がクリップのようにムーブメントを挟みこんでいるようで、最終的にはスペーサーで固定されていることがわかるまで1時間ほどを要した。文字盤を移植して、カレンダーの切り替わる0時直後に2針を合わせ、最後に秒針の位置合わせを行う。

ところが秒針を抜いた際に穴が微妙に広がったようで、新しいムーブメント軸への固定が甘い。仕方なく秒針の穴径を絞るために、ピンセットの先を指で押さえてトライすること5回目でようやく秒針の固定度が確保された。とにかく国産の秒針と比較すると、「RADO DIASTAR」の秒針の細さと穴径の小ささは特別だ。当然ながら針付け作業は実体顕微鏡でなければ、ムーブメントの軸針に秒針の穴をかぶせることはほぼ不可能だ。

しかも3針のそれぞれのすき間が極端に狭いときているので、針棒の押し込み加減を3度ばかり変えてようやくそれぞれの針のクリアランスが確保できた次第だ。そんなこんなで気が付けば3時間半ばかり経過していたが、何とかムーブメントの交換は無事に終了した。うまくゆけばこの先数十年は機嫌良く稼働してくれると思う。

2026.05.16
★ 最大ケース径の再考
表題の記事にあるケース径φ43.7mmの[LIGE 機械式腕時計]がお払い箱になったことで、手元の最大ケース径は、φ42.00mmの[SEIKO Premier クォーツ式]になる。比較的薄い設計なので、シャツの手首ボタンも気にならず、φ30mmクラスのものと同様の使い勝手になる。

26052_ ところが、これを装着していて改めて気付いたことがある。それは、すべての時計バンドの腕周りをほぼ19cmに設定している筆者だが、小ぶりの時計だと手首幅の下側へ時計がどうしても移動してしまう傾向にある。

しかし、この[SEIKO Premier]はラグの両端が手首に良くなじんで、ゆるめのバンドでもケースが回転移動しないのだ。

これは、他の時計では絶対に考えられないことで、時計ケースの大きさは見た目だけではないフィット感があるものだ。

と言うことで、最近ではこの時計のケース径φ42.00mmもあまり気にならなくなったが、一般的な腕周り17cm程度の人の場合には不釣り合いに大きく感じられると思う。それが、この逆輸入品を格安で入手できた理由なのかと納得している。

★ ケースの回転対策
[SEIKO Premier]のようなコマ移動が可能なメタルバンドはバックル位置をそれなりに調整できるのでまだ良いが、フリーサイズのメタルバンドとDバックルの革製・樹脂製のバンドはケース位置を整えると、バックル位置がとんでもないところに寄ってしまう。このことは何十年もあきらめていたことだが、穴通しの尾カンバンドからDバックルに変わってから嵩張るバックルの変な位置がさらに気になってしかたがない。

そこで、本日思い切ってバンドの上下を入れ替えることにした。当然ながらバックルの留め操作は反対になるわけだが、穴通し尾カンに比べると操作性が極端に悪くなったわけでもない。それよりもバックルが本来あるべき位置に納まることが、ケースの回転防止に大きく影響することがわかった。早々に、フリーサイズメタルバンドとDバックルの合計8本のベルト上下を入れ替えた。それぞれを試着した段階では非常に快適だが、このようなことを気にする人ははたして世の中にいるのか否か、ただ1人で満足している。

・・・つづく(もどる)

2026年4月12日 (日)

1972年製 シチズン コスモトロン(Cal.78XX 10振動)

03__20260412213801 機械式時計からクォーツ時計への移行途中、1966年から1972年の最終版までのリリースで国内では主にシチズンで販売された、電池を動力源にしてテンプ(左右に回転するリング)を電磁式に置き換えた時計が、通称[シチズン コスモトロン]としてこの時期に存在していた。時計精度は機械式並みだが、約二日で止まる自動巻と違って、1年間位はノンストップで動くものの、後のクォーツ時計に比べると消費電力の大きさと精度およびコストパフォーマンスの点で忘れられた製品だ。

26023_cal7803a 発売当時の水銀電池は、現在では酸化銀電池になるようで、その規格はどうも「SR44SW(φ11.6×5.4)1.55V」になり、とんでもなく大きいことがわかる。しかも電池寿命が1年間程度なので、時計屋さん通いも頻繁になる困ったものだ。しかしながら機械式の心臓部であるテンプの動力が一定であり、高級機なみの「10振動(36,000vph)」ということなので、ある意味では機械式ムーブメントの最高峰(ロレックスやグランドセイコー等)の動きも楽しめる、複雑な心境になれるヴィンテージ製品だ。と思ったが、秒針の動きはテンプとは同期しておらず5振動のように見える。

一方で同じ機構の[SEIKO Elnix]は秒針も10振動で動くようだが、こちらの販売期間は極めて短かったこともあり、品数と信頼性・耐久性等の実積に乏しいような気がする。

ちなみに、手持ちの自動巻腕時計のほとんどは6振動で、[SEIKO ROADMATIC Special]と[Citizen CosmoStar V2 レディース]の2点のみ8振動のいわゆるハイビート仕様だが、ついにこれらを上回る10(5)振動を運がよければ眺められることになる。

これまでこの製品に二の足を踏んだのは、半世紀以上前の製品が適切なメンテナンスで正常駆動が維持されていたとしても、この先も健全な状態で駆動し続けられるような精度と堅牢性を備えているかどうかで、少なくともキングセイコーやグランドセイコーとは異質の構成である、トランジスタ等の旧式の電子部品が組み込まれたメカニズムの特異性は、現在ではほぼブラックボックスと言ってもよい。

26023_cal7803a2 そんなこんなで、これまではこの[コスモトロン]には手を出さないでいたのだが、駄目元を覚悟で電池切れと称するジャンク品を今回見つけた。本日は到着した製品に内蔵していたオリジナル電池の互換品を注文したところだが、運良く動き出せば儲けものだ。ムーブメントの別画像だが、クォーツ式のような緑の基盤が目につくと同時に、大きめのテンプが特徴的だ。当たり前だが自動巻と違って、ゼンマイからテンプまでの何段ものギア群が全くない。

歴代のコスモトロンのCalibre No.と振動数の関係は以下のとおりで、この10振動(36,000bhp)は最終版でしか実積がないというか、これで廃盤という劇的な終焉を迎える。

 1966:Calibre 0801 18,000 bhp
 1969:Calibre 0802 18,000 bhp
 1969:Calibre 0840 21,600 bhp
 1969:Calibre 0880 18,000 bhp
 1969:Calibre 0820 21,600 bhp
 1970:Calibre 4840 18,000 bhp
 1972:Calibre 78XX 36,000 bhp

26031_cosmotron-7800 さて、入手した1972年製[CITIZEN COSMOTRON 7800-870018 TA]だが、ケースおよび文字盤のデザインはその当時の一般的な自動巻時計とかなり類似性がある。と言っても、自社製品のラインナップというより、推測ではあるがSEIKO製の具体的には[SEIKO 5]に酷似した印象を受ける。

裏蓋の開け方がわからなかったので、ベゼル側から傷ついた風防ガラスを取り外して、寸法計測に基づき純正のクリスタルガラス風防を探している。互換電池が到着して駆動確認がとれたら風防とバンドを注文するとして、ひとまずこの状態で作業が中断している。

2026.04.13
★ ムーブメントの取り外し方
交換用の電池が到着したので、どきどきもので装着してみたらあっさりと動き始めた。そこで、本格的な整備を開始することになり、何より先にムーブメントをケースから外して安全に保管する必要がある。

ところが本製品は裏蓋がないいわゆるワンピースケースタイプらしい。裏面には電池交換用の小さな窓蓋と歩度調整用のネジに届く緊急用ネジ蓋の二つが備わっている。従って、ムーブメントは写真にあるベゼルと風防を外した表側から取り出すようだが、巻き真を引き抜く際にロックを外す「オシドリ」が表面にはない。どうやら、オシドリに代わるレバーがすき間にあることを後日知って一安心だ。
26033_cosmotron-7800
初期の高級クォーツ時計にも見られるこの電池交換専用蓋は、だれでも安心して電池交換ができる点では時計屋さん通いを一掃した小窓で筆者の好みだ。ただし、歩度調整用のネジ穴は興味本位で開けないように特殊ネジでもよいかとも思う。

リューズ操作は押し込みでカレンダー送り、1段引きで長針合わせになっているが、1段引き操作が日常ではほぼ不要な、ソーラークォーツやクロノグラフのような、ゼロ秒時刻合わせ機構が備わっているので、このように強く引いてリューズを外す構造の合理性が納得できる。

この7800用の「Cal.7801A」ムーブメントはその次の機種からは通常の裏蓋式に改められたようだが、初期型にのみ見られるワンピースケースで巻真を抜く方法は、文字盤縁の4時付近にあるレバーを外側へ押しやるようにすればロックが外れる。このことがわかるまで、関連する時計整備のブログを4~5日検索して、それが確認できたときの喜びは格別だった。

26034_7800 今後の予定は以下のとおり。
(注文パーツ)
 ・風防クリスタルガラス注文(純正オリジナル)
 ・曜日車(スレが著しく、おそらく軸回り部分にひずみが生じているようだ)
 ・メタルバンド注文

(整備予定)
 ・ムーブメント文字盤取り外し
 ・曜日車の交換
 ・ベゼルのキズ補修、風防クリスタルガラス交換
 ・ケースのキズ補修と洗浄
 ・ムーブメントの組み付け
 ・タイムグラファーによる歩度調整
 ・メタルバンドの取付

電池交換時の不思議だが、本体に残っていた内部電池は「ユニオンカーバイド 313」で、かつてソニーが提携していた頃のメーカー製品のようだ。製造年が1983~1984年頃で、それ以降は国内品番の「SR44SW」が一般に流通していたらしい。ということは、本製品は1972年の発売から12年~13年間稼働してから以降、40年間ほど電池切れのまま保管されていたのか。ちなみに、古い内部電池をつぶさに確認してみたが、残電圧は140mVで液漏れ等は全く認められないのも不思議だ。

36,000振動ハイビートは通常の自動巻においては1960年代にはセイコー・シチズンの両者に見受けられたようだ。ただし、高級機だけにメンテナンス必須のようで、一般の21,600振動に比べてテンプ回りの劣化が懸念されていたようだ。実際、現存する36,000振動のヴィンテージものは1970年代のものが大半で、そういう意味でもこの時期が各種ムーブメントの完成域オンパレードのように思う。

そして爆発的なクォーツ時計への転換の時代がやってくるのもの1970年台であり、本製品の「CITIZEN COSMOTRON」はそういう過渡期の銘品ではないかという気がするので、是非とも予定の整備を終えて使ってみたいものだ。

2026.04.22
★ 風防ガラスと曜日車が届く
26035_ 風防ガラスは外径とエッジの厚みを基準にして代替え品を注文した。届いた商品を確認すると、オリジナルはフラットタイプだったが、今度はあらかじめわかっていたがダブル曲面仕様になっている。型番の適合メモから、「レオパード(レオパール)」用の純正品のようだ。品質レベルからしてオリジナルより1ランク上なので問題ない製品だと判断した。

ダブル曲面はガラスの反射をマイルドに和らげる実に高級感のある風防に仕上げている、ヴィンテージものならではの特徴だ。セイコー製に比べて安価で入手できたのもうれしい。

先月に入手した[CITIZEN SEVEN STAR DELUXE]のクリスタル風防によく似ているが、エッジがやや立ち気味で、曲面仕上げの研磨精度はこちらの方が良いようで、光学レンズの雰囲気がある。

曜日車は文字盤の取り外しを落ち着いた時に行うとして、今週は何かと忙しいのでの週末から来週、もしくは連休休みの頃に作業を行う予定だ。替えのバンドも[バンビ製]のものが昨日到着しており、本日時点ですべての準備が整った。

★ バンビ製汎用メタルバンド
26037_bambi-bsbe4411s 本体幅が20mmでラグ幅が18mmのどちらかと言うとビンテージ風の汎用メタルバンドだが、ワンプッシュの折りたたみ式の定番ものだ。コマの入れ替えもできるので、バックル位置を正確に調整することができて、長さの微調整もバックルピンで3mm+3mmの6mmまで可能だ。比較的軽量でメタルにしては装着感が良い。

今回もこれを使用することにしたが、すでに生産は終了しているので時計店の在庫を探して注文するしかないのだがこれで4本目になるのは、とにかく定価が安い(¥3,630)ので販売価格はたいてい2千円台になっているのが良い。

決して高級感はないが、造りの品質が高いので何より安心して使用できる。そして日常使いとしてはこのワンプッシュ式が最も合理的な気がする。両開き折れ式のスタイリッシュなメタルバンドもあるが、ほぼ無意識で付け外しができるのがこのタイプだと思う。

★ 5月の連休中には組立・稼働の目処が立った
針と文字盤を外せば曜日車の交換は大した手間はかからないと思うが、風防ガラスを交換するので、針の干渉の有無を確認しながら組立は慎重を要すると思う。

26038_ そうなれば、いつものことながらムーブメント[Calibre 7801A]の予備の確保だ。この10振動初期型は市場での品数が少ない。したがって、動作確認品となるとさらにハードルが高くなる。おそらく何個かの個体を入手して自らで動作確認をする必要がある。

とにかくムーブメントが健在であればケースや風防ガラスはどうでも良い。そのように気長に出物を探していたところ、まず一つ目のものがみつかった。

「7800-870018 TA」の予備機として見つかったのは、「7800-870026 TA」で、ベゼル回りのケースのデザインが少しだけ異なる。内部のムーブメントはおそらく同じものとの推測で入手したが、例によって稼働の確認がとれていないリスクのある商品だ。

今月中には現物が届くと思うが、運悪く完全な不動故障品の場合にはあきらめるしかないが、その程度の価格のものなので、パーツ取りとして保管しておく。

★ 7800-870026 TA 到着
本日予備機が届いた。開封して電池蓋を開けて早々に稼働状況を確認したところあっさりと動いた。前回の「7800-870018 TA」もそうだが、このワンピースケースは一般的に予備知識と経験がなければムーブメントを確認するところまでの蓋開けができない。

極端に言えば電池蓋以外の蓋開けはよほどの理由がない限り手を出さないと思うので、その意味ではいわゆる「いじられている」可能性が低い。この機種に関して不動状態とは、落下や水没の痕跡がない限り電池切れで放置されているケースがほとんどの気がする。今回はたまたま2個の個体がその状態のようで、ともに数千円で入手できたことは非常にありがたく、オリジナルのまま保管しておく。

2026.05.01
★ Cosmotron 7800-870018 TA 組立完了
26039_cosmotron-7800 曜日車の交換は針軸のC型留めワッシャーを外す必要があり、駆動用のギアをはめ込むのに少しだけ手間取った。曜日車のギア精度の関係かもしれないが、はまるところとそうでないところがある。この微妙なフィット感を探すことで日付け車と水平位置がぴったりと合う。もとの曜日車はこの完璧なギアのかみ合わせ位置を探しきれておらず、そのために文字盤に接触して円周状のスレが発生していた。

最後に日差精度を確認したところ、姿勢差を考慮していも「+5秒から+15秒程度」に納まっているので、電磁テンプの半機械式駆動としてはまずまずの性能だと思う。しかし、何よりも、10ビートの36,000振動をタイムグラファーではじめて確認したときの感動は強烈だった。とにかく、8ビートの28,800振動とは全く違うことを知った次第だ。

2026.05.10
★ Cosmotron 7804 4-790138Y
「コスモトロン」に関しては、発表まもなく各社のクォーツ駆動の機種との競合でその影が薄くなり、7800シリーズが発売開始から5年程度で市場からその姿を消したような気がする。その意味では現在でも知名度は低く、今のところ実売価格は外観の程度を気にしなければ、交換用風防ガラス程度で入手できる。

26045_cosmotron-7804 ただし、市場から在庫数が減少すれば不合理な価格での取引が行われる時期がくるような気もする。そこで、最終版の7804ムーブメントの稼働品を今のうちに簡単な手入れを施して手元に置いておくことにした。

ムーブメントと文字盤は微細な埃や汚れを落とし、ケースと裏蓋のスレを修正して、風防はレオパール用の新品クリスタルガラスに入れ替えてパッキン類も交換しておいた。すべてのパーツを組み上げてもよいが、このまま別途ケースに封印しておいてもよいかとも思う。

筆者の心の中ではこの「コスモトロン」は腕時計の歴史の中でいわゆる「秀逸機」と呼ぶにふさわしい機種だと思っているが、同時代の自動巻や手巻きおよびクォーツ駆動のビンテージ製品がその後半世紀にわたり健在に稼働していることを考えると、同様の耐久性があったのかどうかを検証する手立てがない。

★ レオパール用風防は光学レンズ
26046_ ムーブメント・文字盤を組み込む前のケースでレオパール用の風防を通して背面を透過してみると、ダブル曲面仕上げのクリスタルガラスは間違いなく凹レンズの形状をしていることがわかった。その曲面精度は光学レンズの仕上げに相当するもので、かなり本格的なレンズ研磨の作業を経ていることが改めて確認できた。

撮影のために仮にバンドを装着してみたら、風防ガラスを通しての画像の具合で凹レンズの光学特性がよくわかる。これほどまでに凹レンズの様相を呈していることに気付かなかったのは、いままでは文字盤・ミーブメントを間を置かずに装着してしまうためだ。それにしても、エッジカット部分のスペクトル分解が美しい。

保管用の「Cosmotron 7804 4-790138Y 」もムーブメントに埃が侵入しないように、すべてのパーツを仮組しておくことにした。そこでもう一つわかったことだが、実際にはフラットな円盤の文字盤がわずかに曲面に湾曲しているように見えるのは、この凹レンズ状のクリスタルガラスのためのようだ。

これは[Seven Star Delux]のダブル曲面ガラスにも言えることで、今改めてその文字盤を眺めてみると確かに湾曲している。ただし、同じダブル曲面ガラスでも[SEIKO 5 ACTUS]に装着されているキングセイコー用の風防ガラスは、文字盤が完全にフラットに見える。

26047b_cosmotron 歩度調整も裏蓋を開けて行う一般的な構造なので、こちらの方がメンテナンス性は優れているように思えるのは、おそらく7802、7803を経て7804までこのケース構造は一貫していることでわかる。

2026.05.17
★ テンプ振動と秒針運針の関係
テンプの振動(鼓動)はタイムグラファーのマイクで拾われて、そのまま振動数として表記される。[CITIZEN Cosmotron]の場合には、36,000vph表記になっているが、文字盤上の秒針の動きはその1/2くらいの18,000vphの5振動だ。

つまり、時計の見た目では10振動のスイープ運針になっていないことを、実際に製品を手にしてはじめて知った。まあ、世間の情報ではこのあたりのことがあまり話題になっていないようだ。

ところが、[SEIKO ELNIX]の場合には、タイムグラファーで36,000vph表記で示されて、文字盤上の秒針の動きも36,000vphの10振動になっているらしい。(どうも正確な情報を得ることができていない)

1970年代はじめの同時期に発売されたこれら2つの電磁テンプ方式の10振動ムーブメントが、見た目で大きく異なることの理由がどうしてもわからない。そして、どちらかと言うとよりメジャーな[CITIZEN Cosmotron]の方が控えめな秒針の運針機構で押し通したことがまた不思議な気がする。

この疑問に対する筆者の推測だが、電池の寿命というか消費電力の問題と関連性があるような気がする。どちらかと言うと比較的電池の持ちが良いとされる[CITIZEN Cosmotron]でさえも約1年程度で電池交換の時期が訪れるらしい。

したがって、もしかして[SEIKO ELNIX]の方は秒針の運針に要する電力が大きく、半年くらいしか電池が持たなかったのかもしれない。それであれば、[CITIZEN Cosmotron]が見た目の振動数をテンプの1/2に抑えたことの意味がわかる。

つまり、テンプの引きつけ回転は電磁力で行い、解放回転はヒゲゼンマイで行うという組み合わせなので、その両方の動きを秒針に伝えると余計な電力消費が発生するということかもしれない。

26053_seiko-elnix-07037020 このあたりのことを記述している情報がありそうでないのは、ほとんどの記事が書き手の実所有を伴わない想像で記述した内容のためか、これら2つのムーブメント違いがそれほど興味を持たれないためか、それを解決する最後の手段は筆者が直接確認する以外になさそうだ。そこで、新品の風防ガラスでケースやムーブメントの程度の良い[SEIKO ELNIX 0703-7020]をやっとのことで探し出してきた。

付属のバンドは使いものにならないが、電池も交換されているので19mmバンドを準備すればすぐにでも使用できる。ケースと文字盤の雰囲気は1970年代の「SEIKO 5 ACTUS」の趣があり筆者好みのデザインだ。風防ガラスのステンレス縁が大きく、外側のベゼルと2重構造のように見える不可思議さは、何か他のモデルとの部品共用を図った結果かもしれない。いずれにしても外観は重厚感のある雰囲気だ。商品を見てからベルトを注文するとして、今は到着前の商品画像で色々と想像しているところだ。

2026.05.19
★ [SEIKO ELNIX 0703-7020]到着確認
いずれ本製品の記事を詳しく掲載しようと思うが、本日到着した時点で最初に確認したかったこと、即ち秒針の運針刻みだがムーブメントの28,800vphに連動した8振動で稼働している。ゼンマイ式のHi-Beat 8振動と違って確かにエネルギーを消費している印象を受ける。

風防ガラスのステンレス枠に見えた部分はガラスのエッジ部分で、ステンレス枠はベゼルの内側に細い二重線になっている部分だった、これはまさに[SEIKO 5 ACTUS]の風防ガラスと同じで、ケースの両サイドの曲線仕上げは「SEIKO LORDMATIC Special]によく似ている。

★ 実体顕微鏡の功罪
仕事場の棚には整備済みの実体顕微鏡が3台ある。腕時計の観察に適した小型の2台のうち、ニコン製の[SMZ-10(ガリレオ 平行光路型)]用いて、文字盤のチェックしてみたが、目視では確認できない埃が残っている。おそらく風防ガラスの交換の際に混入したものと思われるが、改めて肉眼で確認してもまったくわからない程度のものだ。

この埃は必ず取り除ける類いのもので、ムーブメントを外せば簡単に終わる。しかしそうなるとケースの内部洗浄のためにベゼルを外してゴムパッキンも確認しておく必要がある。こうなるとケースの曇りやスレも手入れすることができて、納得できる清掃を実施することができそうだ。そこで早々にそれぞれのパーツを取り出してみて驚いた。

 ・裏蓋パッキンは交換されておらず古いまま(グリスも塗られた気配がない)
 ・ベゼルパッキンは新品が使用されているようだ
 ・ケースの縁(裏蓋かかり、ベゼルかかり、ガラスかかり)の固着汚れが清掃されていない

26057_seiko-elnix ベゼルとガラスの両方を固定する太めの純正ゴムパッキンは構造的には防水性能が優れるようだが、そのパッキンを受ける側に固着汚れが残ったままというのは、とても時計整備士の仕事とは思えない。たぶん安易に手間を省いたようだが、確かにこれをきれいに除去してステンレス地肌を出すのは根気のいる仕事だ。

ということで、すべてのパーツの清掃が終わってふたたび組み立てるところだが、ことの発端が文字盤の埃を実体顕微鏡で見つけたことによるもので、以前のようにルーペで簡単に確認していた頃であれば何も気にしなかったわけだ。

しかし、それは時計を扱う人をある程度信頼していたからで、今回のような筆者の感覚ではずさんとも思えるような仕事ぶりを想定していなかったためだ。

ちなみに、2020年までの電池交換の履歴が時計屋さんのメモで裏蓋に記されていたので、今回のことはその後に手渡った先の販売者の仕業だと考えられる。画像をみてわかるように、内蔵ボタン電池の大きさが目立つのはクォーツ駆動と大きく違うところだ。

2026.05.23
★ [SEIKO ELNIX 0703-7020]組立完了
26058a_seiko-elnix 今回の組立は、エアコンを止めて部屋の空気の流れを一時的に停止させた状態で、さながら顕微鏡レンズの組み付けのような慎重さで行った。文字盤が濃紺なのでわずかな埃でも目につくことからの配慮だが、一番の緊張はベゼルの圧入時にガラスを割らないかと心配しながら圧入機に力を入れる瞬間だ。「パチッ」とはめ込まれた瞬間には毎回ほっとする。

シチズン製の[Cosmotron]と違って、こちらは秒針がテンプの8振動と同期しているので、自動巻[LORDMATIC Special]と同じ運針状態だ。先の画像でもわかるように、文字盤の刻みもそれらしい雰囲気があり、高性能さがにじみ出ている。

文字盤に合わせて同色の革製バンドを探してきた。さすがに純正品やバンビ製ではこの色の製品は見当たらず、海外ものを試すことになるが、手元で確認したところ問題はないようだ。

仕上がりを眺めてみるとやはり[SEIKO 5 ACTUS]と[SEIKO LOADMATIC]のデザイン要素の影響を強く受けている。そういう意味ではこの両方の個性の完成形といってもよいバランスのとれたデザインだと思う。

それは[Cosmotron]についても、[CITIZEN REOPARD]の最終形としての安定度を感じるが、この2つはケースの大きさに微妙な差があることもわかった。当然ながら文字盤の大きさもそれに対応しているのだが、いわゆるそれぞれのメーカーコンセプトのようなものの気がする。
26059_
 SEIKO ELNIX       横幅:37.3mm
 CITIZEN COSMOTRON 横幅:38.4mm

このわずか1.1mmの差が腕に付けた際には明らかにわかるのがおもしろい。

2026.05.31
★ 予備の「SEIKO ELNIX」 ムーブメント
同じ型番(0703-7020)の予備品を探してきた。不動になってから10年以上が経過しているらしいので、極めてリスクの高いいわゆるジャンク品になる。

一般的にジャンク品と称するものの中には、パーツの欠品やすり替えなどの悪意のある品もあるので、筆者は商品の隅々まで確認できるもの以外はこれらにあまり手を出さない。

26061_seiko-elnix 今回は不動から10年間以上の放置という情報を信じて交換バンドの価格程度で入手してみた。さて、商品が到着した本日、早々に裏蓋を開けて内部の状態確認と電池の交換を試みることにした。

問題点の懸念が的中した。内部の電池が残置されたままで(-)側下面縁がかなり腐食していた。底面は酸化物の粉が吹き出す状態だが、電池ホルダーの接点はまだ無事だった。ホルダー内に確認できる電池の酸化物を入念に除去して、新しい電池で動作の確認をしたところ、瞬時に力強く動き出したのでひと安心だ。

残置されていたボタン電池は、Made in USA の「水銀電池354」なので、これが最後に入手できたのは、市場在庫としても2008年頃までなので、不動から最低でも17年が経過している勘定になる。17年経過したボタン電池としては酸化の損傷は小さい方だと思う。

蓋の開け具合の固着程度からしても、17年程度の放置は妥当な感じがする。ケースとベゼルも目立つような打痕は見当たらないので、風防ガラスの出物や交換パッキンが入手できればもう一台組み立てても良いが、ひとまず写真の状態でケースに密閉保管しておく。同型番で同程度のムーブメントが準備できたので、このままでも十分に予備機となる。

2026.06.11
★ 予備の「SEIKO ELNIX」の風防ガラスを入手
26070_elnix 純正互換品の表題ムーブメントの風防ガラスを見つけた。「ヨシダ製」なので互換品とは言え純正品と同等品質だ。ELNIX用はクリスタルガラス縁にステンレスリングのツバが付いた構造で、ケースにパッキンを介してはめ込むようになっているので脱着の失敗がない。

「5 ACUTUSやLOADMATIC」も同じ構造で、1台目の純正品と形状寸法が同じなので、何処が互換品なのかがよくわからない。おそらく包装袋の違いだけだと思う。

2026.06.16
★ ムーブメントフォルダー(置き台)
26075_ レディース用のムーブメントを固定するための締め付け式「固定台」も良いが、文字盤の大きさにより締め付けが不都合な寸法のムーブメントの場合、安全に据え付けられる置き台を購入した。そして、ムーブメントによっては、文字盤を下側にして置くことが出来ればなお作業性がよくなるとの期待もある。

・・・つづく(もどる)

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